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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
閑話V 夕呼の歩む道
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ても研究は続けるつもりですし、厄介事に巻き込まれたくなければ態々こんな話はしません。覚悟しています。」
「そうか…。」
 そして私は聞いた。オルタネイティブ計画という世界規模の壮大な物語を。

夕呼side out



 もともとオルタネイティブ計画は1966年に始まったBETA(当時はそう呼ばれていなかったが)とのコミュニケーションをとる計画だった。1958年に探査衛星ヴァイキング一号が火星でBETAを発見し、その後の調査でBETAが作ったと思われる巨大建造物が存在することが判明したことで、彼らとコミュニケーションをとれると判断されたのだ。
 しかし彼らは言語を用いず、地球上の生命体が取っている通信方法もあてはまらない。そもそも本当に知的生命体なのかがわからなかった。最初の接触以降、人類は積極的に無人探査船を火星に送り調査を試みたが、そのことごとくが通信途絶。結局何も分からなかったのだ。ここまでがオルタネイティブ第一計画である。
 そしてしばらく経って1967年にサクロボスコ事件が起きる。月でBETAとの戦いが始まり、人類はBETAについて知るためにオルタネイティブ第二計画を発動した。BETAを捕獲し、物理的、生物的に調査することでBETAという異星起源生命体について知るための計画である。解剖やX線を始めとし、薬品を使った実験、人間で言えば拷問のようなものすら行ったが、分かったことはBETAが炭素系生物であるということのみ。消化器官もなく、どの様に活動エネルギーを得ているのかもわからなかった。幾つか細かいことが分かったものの、BETAという存在の核心には全く迫れなかった。
 そして1973年、地球にBETAが降り立ち地上で戦争が始まったころ、オルタネイティブ第三計画が発動し現在に至る。オルタネイティブ第三計画はソ連主導の計画であり、より戦争に有用な情報を集めるために様々な実験が行われ、BETAの情報伝播モデルが推測されるなどの成果を残している。そして現在ソ連で研究が進められている人工ESP発現体を使い、BETAの思考を直接読み取る計画が進められているのである。

 オルタネイティブ計画は国連が推し進める巨大計画であり、計画を主導する国は国連のバックアップを受けたいBETA戦争の主導権を握ることができる。それはつまり国際的な発言力を持つということにつながるのである。
 現在日本は第三計画が失敗した時の予備計画としてオルタネイティブ第四計画を国連で発表しようとしている。そこで選ばれたのがいくつかのプランの一つが夕呼の論文だった。オルタネイティブ計画の主要目的は一貫して『相手を知る』ことに終始する。これまでのBETAの動向を見るに、知的生命体なのかどうかは分らないが何らかの方法で意思疎通をしているとしか考えられない。それを計測、分
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