第四話 幼児期C
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たの? もともとちょっとおかしなデバイスだけど、本当に何か故障してしまったのなら、素直に言いなさい」
「大丈夫だよ母さん。コーラルがなんかおかしいのはともかく、壊してなんかいない。コーラルはただちょっと出張に出掛けているだけだから」
「……なんでインテリジェントデバイスが出張しているの」
さて、『コーラル』は俺が3歳の時に、母さんから受け取ったインテリジェントデバイスである。起動すると、まさに魔法の杖という感じになるのだ。
最も俺がコーラルを杖の状態にすることは稀なので、だいたい緑の宝石のまま、……つまり球体でふよふよしていることが多い。さすがは自律行動や人工知能を持つインテリジェントデバイス。機械と魔法が組み合わさるとすごいな。
ところで、魔法の形態にはミッドチルダ式とベルカ式という主に2つがある。古代とかなんとかもあったと思うが、そこらへんは割愛。俺はそこんところの専門家ではないから詳しくはわからんが、要は前者が魔法使いタイプ、後者が魔法戦士タイプが多いというところだろうか。
ちなみに俺はミッド式を使っている。母さんがミッド式の使い手であることも影響しているが、なによりも正面切ってガチンコ勝負とかまず無理。剣とか危ないじゃん。普通の元現代っ子の俺が、刃物持つなんて怖いに決まっているだろう。
なのでミッド式万歳。遠距離攻撃愛しています。リリカルの魔法って非殺傷設定とかあるおかげか、危ないことには違いないが、魔法を使うことに俺はそこまで拒否感を感じなかった。
「母さん、どんなものにも適材適所はあるんだよ。あいつは今、もっとも輝ける場所で頑張っているんだ」
「マスターの手の中以外に、適所があるなんて聞いたことがないわ…」
とりあえず俺なりに、母さんに説明を試みてみた。しかし母さんはさらに混乱してしまった。なぜだ。
「コーラルはそのうち、ひょっこり帰ってくるから大丈夫だよ」
「……デバイスもふらふらするのね」
「お兄ちゃんみたい」
母さんが何か諦めたような顔をしている。でも確かにコーラルのスキルに『単独行動:A』ぐらいはあっても俺は驚かない。しかし、俺とコーラルって似ているか? ペットが飼い主に似るとはいうが、性格は全然違うぞ。なのになんで母さんは、納得がいったって顔するのさ。ねぇ、なんでさ。
「もう、デバイスはちゃんと携帯しなくちゃ駄目よ。もしも危ない目にあったらと思うと、お母さん心配なんだから」
真っ直ぐに俺の目を見て話す母さんの言葉に、俺は曖昧に笑いながらも小さくうなずいた。確かに母さんが言うことは、最もなことだからな。
コーラルは俺の魔導師用の杖として作られたが、一番の理由は俺たち兄妹のためだ。母さんは今の仕事に就いた頃、俺たち兄妹だけを長いこ
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