第四話 幼児期C
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のおふとん返してよー!」
「あぁ、ぬくぬく。妹よ、これが現実だ。兄とは時に立ちはだかる壁として存在するものなんだ……って、あ、ちょっ、ぐえぇッ!! ア、アリシア! 『かたくなる』しかできないトラ○セル状態の俺に、『のしかかり』は駄目だよ!?」
「ファイトー! いっぱぁーつ!!」
「それ確かに頑張る時の掛け声にって教えたけど、ここで使うのちがぁう!? だから丸太を押すみたいにごろごろしちゃだめっ………あ、ブフォオッ!!」
「さいごに愛はかぁーつ!」
「…………」
その時プレシアは、ベッドから転げ落とされた兄と、取り返した布団を片手にガッツポーズで、布団愛を叫ぶ妹の姿を扉越しからでも幻視できたという。
******
「うちの妹のはっちゃけ具合に、お兄ちゃんとして色々と心配なんだが」
「そうなの?」
はい、そうです。それにしても未だに腰が痛い。妹の布団愛をなめていたのは、俺の方だったというわけか。油断は禁物という言葉が身にしみたぜ。
「2人とも元気なのはいいことだけど、やりすぎたり、怪我しちゃ駄目よ?」
「「はーい」」
朝ごはんを食べながら、母さんの言葉に兄妹揃ってうなずく。俺も妹もさっきみたいにじゃれることは何回もあるが、本当の喧嘩はしたことがない。というか俺としては、これから先もそんなことをするつもりもないが。しかし相変わらずうまいな。この野菜スープはおかわり確定。もぐもぐ。
「ところでずっと不思議に思っていたのだけど」
「え、何?」
「アルヴィン、『コーラル』はどうしたの? 最近全然見ていないけど…」
「コーラル? …………あ、あぁ! うん、コーラルね。コーラル」
いや、覚えていますよ。ちょっと記憶からアボーンしていただけで、ちゃんと覚えていますとも。だから母さん、そんなかわいそうな子を見る目はやめて下さい。あとアリシア、コーラルの名前を聞いて首をかしげてあげないで。さすがにそろそろ思い出してあげて。
「アルヴィン、いくらなんでも自分のデバイスの存在を忘れるのは…。だから最近は、朝起きる時間もまちまちだったのね」
「あっ、めざまし!」
「あははは、まぁそんな感じ。あと妹よ、確かにコーラルは目覚ましの役割もしてくれていたが、それで思い出してあげるのもどうかと」
一応デバイスは、魔法を使うための補助器具なんだし。実際に魔法らしい魔法も全く使っていないし、むしろ魔法の存在自体時々忘れている俺が言うのもなんだけどさ。どうも転移が便利すぎるんだよな。あともう1つ理由もあるんだが…。
まぁなんだかんだ理由があって、俺のデバイスは本来の仕事がまったくできていない。おかげでその他の用途ばかり、増えてしまった気がするけど。
「それでどうし
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