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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#11 "Labyrinth of thought"
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も中々のセンチメンタリストだが、それに付き合うレヴィも大概だな。やはり彼女にとってロックという存在は特別なものなのかな。
恐らくまだ教会の建物外にいるであろう相棒の顔を脳裏に描く。
彼女の過去の話は聞いた事がない。俺も彼女に自分の過去なぞ語った事はない。お互い聞くべきでもないし、聞く必要もないと分かっていたからだろう。
要するに安心して背中を預けられるかどうか。それさえ分かっていれば充分だ。そう思っていたんだろうな、きっと。
「………」
廊下の真ん中で足を止め壁に向かって一歩近づく。そのまま身体をゆっくりと回して、壁に背中を預けてみる。
タバコを吸おうかと手を伸ばしたが、思い直して手をそのままポケットに入れる。目は閉じたまま顔を床に向けている俺。
レヴィを特に"女"として意識した事はない。
いい女だとは思うが、抱きたいと思った事はない。尊敬もしているし、憧れてもいるが、 独占したいと思った事はない。
これまで背中を預けて戦ってきたが一番の理解者は俺だ、などと自惚れるつもりもない。
そんな事を考えた事はない。それは確かだ。 なら、
俺は今何を考えている?
「世界は不完全。そこに生きる人間もまた不完全。だから誰もが誰かを羨ましく思う。自分に無いものを求めて。自分ではない誰かがそれを持っている。そんな気がして」
目は閉じたまま小さく呟く。あの時。船の中でレヴィに銃を向けられたあの時にも、彼女に告げた言葉。
……覚えているものなんだな。ガキの頃に聞かされた言葉というものは。
まして場所が場所だからな。
自分がガキの頃に一時期身を寄せていた場所、だからな。ここは。
「……よく俺に聞かせてくれたよな」
ヨランダには感謝しなくちゃいけない。ここを守ってくれているんだから。
口許が僅かに
綻
(
ほころ
)
ぶ。自然に笑えるなんていつ以来だろう。やはりここでは調子が狂うな。まあ、たまにはいいか………
俺は壁に背中を預けたまま時を過ごした。ヨランダとの話が終わったロックが、 俺の事を呼びに来るまで………
Side ヨランダ
「中々面白い坊やだね。アンタが気に掛けるのも分かるよ」
部屋の隅にいる男に向かって語り掛ける。今、応接室にはロック坊やはいない。アタシともう一人だけだ。
今は"ゼロ"と名乗っているのだったか。その"ゼロ"はソファにも掛けず、部屋の隅に立ったまま窓から庭を眺めてる。相変わらず愛想が無いね。そういうところは昔と変わらないよ。
アタシはソファに深く腰掛けたまま、身体だけはでかくなった後姿を見ながら、そんな事を考えていた。
「ロックが世話になったな。アイツもスッキリし
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