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DQ3 そして現実へ…〜もう一人の転生者(別視点)
誘惑という果実は流血を好む
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上げるしか出来なかった…
ミミックはウルフちゃんから離れ、彼の血を全身に浴び、嬉しそうに跳ね回っている…
私の悲鳴に気付いたお父様が、慌てて近寄りミミックを一撃で粉砕する。
そしてお父様はウルフちゃんを抱き上げて、ベホマで傷を治療する。
傷は完全に癒え、命を失う事は回避された…
その間、私は動けないでいた…
全てが一瞬の事で、理解できないでいた…
ただお父様の腕の中で一命を取り留めたウルフちゃんを見て、初めて涙が溢れてきたのだ。
「ごめんなさいウルフ様…私が…」
私はウルフちゃんに近寄り、ただ涙を流す事しか出来なかった。
そんな私にウルフちゃんは、弱々しく震える手で涙を拭って、そして弱々しく微笑むのだ。
(パンッ!)
だけど私はお父様にぶたれた!
生まれて初めてお父様にぶたれた!
「マリー!!お父さんは宝箱を開けるなと注意したんだぞ!」
しかも声を荒げて叱られたのだ…
「お父さんはね、いい加減に見えても冒険者としては経験を積んできてるんだ!そのお父さんが宝箱は危険だと言ったら、お前はそれを信じないと………お前は、この洞窟内で何が危険かを分かっているつもりなのだろうが、それは違うぞ!一番危険なのは慢心する事だ!『自分は賢いから大丈夫』『自分は守られてるから平気』…そう慢心する事こそがダンジョン内では危険なんだ!」
お父様の言葉が私の心に突き刺さる…
私はココがゲームの世界だと勘違いしていたのかもしれない…
確かにゲームが元となった世界ではあるが、今の私にとってはココは現実なのだ…
その事に最近は理解してきたのに…サマンオサの惨状を目の当たりにして、ゲームとは違う事を分かってきていたのに…
私は何一つ学んで無かった!
お父様はその事に気付いていたのかもしれない…
だから私がダンジョンに入る事を、あんなにも頑なに拒み続けたのかもしれない…
私の涙は止まらない。
全てが悲しくて、全てが辛くて…
ただ泣く事しか出来ないでいる。
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