第一話 刻限その三
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「何が書いてあるのですか?」
「そのうちわかるかもな」
今の牧村の問いには答えなかった。
「わからぬかも知れぬ。それ以前に君には関係ないことかも知れんぞ」
「俺には関係ない」
「おそらく関係はない」
これまた実に突き放した言葉だった。
「だから気にしなくてもいいぞ」
「そうですか。それじゃあ俺は」
「どうするのじゃ?」
「ちょっと本を借りに来ました」
彼は答えた。
「ここに江戸時代の仙台の民族伝承に関する本があったと記憶していますので」
「ああ、それか」
教授にも思い当たりのある話のようだった。彼の言葉に頷いてみせていた。
「あの本じゃな」
「何処にありますか」
「確か奥から二番目の右側の書斎の上から二列目の左端じゃ」
「そこですね」
「うむ、そこにある」
確かな言葉での返答だった。
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