第二話 天使その十四
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れる博士であった。アメリカといえばやはり移民である。移民達によって作られた国であるからだ。それこそ様々な国から来ているのだ。
「多くの話があるからのう」
「じゃああの国もね」
「ネイティブのことも調べておきたいしのう」
彼等の歴史は古い。そのうえ多くの伝承がある。そこも注目している博士なのだ。
「あの国にも髑髏天使に関する話があるかものう」
「だからアメリカもなんだ」
「ついでに大英図書館も漁ろうとするか」
言わずと知れた世界屈指の大図書館である。
「調べることが実に多くなりそうじゃ」
「これで論文も書けそうだね」
「無論そっちも書くぞ」
自分の仕事も忘れない博士であった。
「ちゃんとな」
「そっとも忘れないんだね」
「論文を書け。さもなくば滅びよ」
随分と厳格な響きを持っている言葉であった。
「学者の鉄則ではないのか?」
「最近それ守ってる人少ないんじゃないの?」
「少ないっていうかさ」
また妖怪達が口々に言う。
「博士もういい歳だし」
「名誉教授だったけ」
「大学に長くおれば誰でもそうなるぞ」
平然として妖怪達に答えるがこれには根拠があった。大学に三十年いればそれで名誉教授となるのだ。だから博士はこう答えたのである。
「それこそな」
「まあそうだけれどね」
「それでもまだ書くなんて」
「人生ずっと勉強じゃ」
かなり求道的な言葉であった。
「ずっとな」
「だから書くんだ」
「左様。論文なぞ一日もあればそれで一つ書ける」
常識外れの速筆である。少なくとも博士の歳では考えられない程だ。
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