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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#10 "life matters advice service"
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エダ? さっきのシスターか。

「今日はレヴィも一緒だったんだが、どうやらエダが二日酔いらしくてな。それに気付いたアイツがからかい始めて、しばらく我慢していたエダもとうとうキレたようだ。
教会の庭で追いかけっこやってるよ。銃声は聞こえて来ないし、放っておいてもいいだろう。飽きれば止めるさ」

淡々と話すゼロの声を、これまた淡々と受け止めるシスター・ヨランダ。二人とも、またカップを持ち上げて黙って紅茶を飲んでいる。
二人の事は放っておいて………いいんだろうな、うん。
俺も黙って紅茶を味わうとしよう。

「………」

「………」

「………」

何だかマッタリとした空気が部屋を流れる。まあ、ここが教会である事を考えるとそれでいいのかもしれないが。
少し気分に余裕が出てきて部屋を見回す。建物自体は古いものだろうが、この部屋はよく掃除されているようで、埃一つ落ちてない。窓からは暖かい光が射し込んでくる。

「それで、今日は何の用なんだい?」

沈黙を破ったのはシスター・ヨランダ。ゼロに向ける視線は穏やかなままだ。

「幾つかあるんだが、取り敢えずは仕事の話だ。頼んでおいた銃器は?」

ゼロもシスターの顔を正面から見つめながら返事をする。
俺は何をするわけでもなく、ただぼうっと二人の話を聞いていた。

「ああ、揃ってるよ。東欧から流れてきた新品ばかりさ。ラグーン商会はお得意様だからね。何の問題もないさね」

うんうん。仕事が上手くいくのは気持ちいいね。あ、紅茶のお代わりもらおうかな。空になったカップからティーポッドへと視線を移す。

「それは良かった。じゃあ次はちょっとした個人的な用件だ。構わないかな」

「へえ。珍しい事もあるもんだ。アンタがそんな事を言ってくるたあね。
良いさ、聞こうじゃないか。何なんだい?」

へえ。ゼロの個人的な用件? 俺が聞いててもいいのかな。まあ、何も言われてないし良いのかな。

そんな事を考えつつゼロの横顔を見ていたら彼と目が合った。

へ? 何で俺の方見てんの?俺が呆気に取られていると、ゼロがシスターに視線を戻してこんな事をいつもの淡々とした口調で言った。

「実はここにいる悩める青年の相談に乗ってやって欲しい。最近色々あったみたいなんでな」

俺はゼロの横顔に視線を固定したまま動けなかった。いや、本当にコイツだけは分からない………

























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