第二話 天使その十二
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「どうやらな」
「そうじゃよ。この連中はかなり明るいぞ」
「人を襲わないんだな」
「人を襲う奴はここにはおらんよ」
博士は笑って牧村に言葉を返した。
「それも一切のう」
「そういう化け物もいるのか」
「妖怪って言ってくれよ」
「そうそう」
その妖怪達が彼に告げる。やはり明るい声で。
「化け物って言われるよりも気持ちがいいし」
「だからさ。妖怪ってね」
「妖怪か」
扉に手をかけつつこう呟いた。
「そう呼ばれたいのなら呼んでみよう」
「何か他人行儀だけれどいいよ」
「できればフレンドリーにいきたいけれどね」
妖怪達の言葉が続く。
「まあそれもこれからね」
「宜しくね」
「少なくとも御前等が俺に向かって来ないのならいい」
「そういうこと」
こんな調子であった。
「まあ少しずつでもいいしね」
「時間はあるし」
「とにかくだ」
牧村は少し強引に話を打ち切ってきたのだった。扉を開けた。
「また来る。ではな」
「うむ、何時でも来てくれ」
博士はこう牧村に声をかけたのだった。
「待っておるからな」
「携帯の電話番号も知っていたな」
「携帯!?うむ」
また牧村の言葉に頷く。
「知っておるぞ。安心せよ」
「連絡してくれてもいい。何時でもな」
「そういえばサイドカーじゃが」
「俺のサイドカーがどうかしたか」
「改造もできるからのう」
協力の申し出であった。
「何かあればな。それも考えておいてくれ」
「気が向いたらな。それではな」
「またな」
牧村は部屋を出た。そのまま扉を閉めて姿を消す。妖怪達は閉じられた扉を見つつまた博士に対して言葉をかけるのであった。
「ねえ博士」
「彼だけれど」
「いい奴じゃろ」
「そう?」
今の言葉にはすぐに疑問符で応えた彼等であった。
「あまりそうは思えないけれど」
「悪い人じゃないけれどね」
これはおおよそ彼等も察していた。
「けれど。無愛想だし」
「硬いしね」
「素直でないのじゃよ」
博士は少し笑って彼等に応えた。
「実はな。それでじゃ」
「ああだっていうの?」
「そういうことじゃよ。まあ付き合っていけばいい奴だとわかるものじゃ」
「そうだったらいいけれどね」
「あと。気になるのは」
「何じゃ?」
「闘うのかな」
「ああ、それだよね」
妖怪達が次に牧村に対して思ったのはこのことだった。
「何か闘うとは言ってるけれど」
「どうなのかな」
「疑問だというのじゃな」
「うん」
また実にはっきりと答えたのだった。
「だってさ。いきなり変身するなんて言われても」
「普通はいそうですかって考えられるかな」
彼等の今の考えはかなり人間臭いものであった。
「そこんとこ難しいんじゃない
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