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木の葉芽吹きて大樹為す
双葉時代・共闘編<後編>
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私を見つめ返す。

 千手の集落の方で前もって用意していたのだろう。
 ミトと扉間が同時に背負っていた巻物を広げると、複雑な文様や呪文で埋め尽くされた書が勢い良く広がって七尾の体を取り囲んだ。
 印を組んだミトの体から莫大な量のチャクラが迸る。
 ミトのチャクラに呼応して金の輝きを帯びた鎖が広がった巻物から伸び、そのまま七尾の体を強力な力で縛り上げていく。

 七尾が最後の悪あがきとばかりに、鎖で縛られた体を大きく身じろがせる。
 金の鎖から解放された一本の翡翠色の羽の様な尾が、私の方へと振り落とされたが――その前に紫の炎を帯びた髑髏の手で弾かれた。
 不機嫌そうな横顔に気付いて、小さく苦笑しながら封印が最後の仕上げに入るのを見つめる。
 一際強い光が周囲に満ちた瞬間、それまで草原に横たわっていた七尾の巨体は視界から消え失せていた。



「……疲れたー。当分働きたくない気分だ」
「柱間様が弱音を吐く所を始めて見ましたわ……」
「そりゃあ、オレだって人間だからね。尾獣なんて規格外相手によくぞここまで保ったもんだよ」

 暗くなった空を見上げながら呟けば、私の足に刺さった木片を取り除いてくれていたミトが眉根を下げる。
 こりゃあ、近いうちに封印術をミトから本格的に習った方がいいかな。もしもまた尾獣と戦う羽目になったら、封印術を持っているかいないかでかなり勝率も変わるだろうし。
 そんな事をつらつらと考えていれば、少し離れた所でマダラを睨んでいた扉間が大袈裟な溜め息を吐いた。

「普通なら尾獣相手に一人で立ち向かっていける忍びなんていませんよ」
「うるさいぞ、扉間」

 足に刺さっていた破片を抜いてくれたミトに一言礼を告げる。
 それから意図的に中断していた自己治癒を開始した。

「――――ミト。七尾はどれくらい抑えられる?」
「三年くらいなら問題ありませんわ。今回は急でしたので碌に準備はできませんでしたけど、それくらいなら」
「充分だよ。とにかく、これで一段落付いたな」

 見る見る内に傷口が隆起して、あんなに酷かった傷跡が塞がっていく。こんな光景見ていたらつくづく自分も人間離れして来たなあ……と感じます。

「千手の体質って凄いな、本当に」
「そんなに早く怪我が治るのは兄上だけです。オレだって出来ませんよ」

 しみじみと感慨深く嘯けば、扉間が嘆息する。
 弟から差し出された手を握りしめて、私は立ち上がった。

「扉間、先に行っておいてくれ」
「……兄上」

 非難の眼差しを向けた弟の頭を軽く撫でる。
 そうしてから年々がっしりとして来た肩を軽く叩いて促した。

「一分だけですからね。それ以上は兄上が何を言っても引離します」
「扉間の言う通りですわ。いくら何でも相手
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