暁 〜小説投稿サイト〜
木の葉芽吹きて大樹為す
双葉時代・共闘編<後編>
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
まう。

 ――――それが、失敗だった。

 一瞬の気の弛みは、戦場では命取りだ。
 そう何度も、父上からも先輩忍者達からも教わって来たのに、私はそのミスを犯してしまった。

 七尾の尾の一本が、木々の拘束から解放される。
 その尾の落とされる方向を見て、私は自分の顔色が変わってしまうのを感じた。

 ――――マズイ、そっちには……!

 残り少ないチャクラを使って、自身に瞬身の術を掛ける。
 頼むから間に合ってくれよ! その一念だけで、必死に地を蹴った。



「う、ああああぁぁっ!」
「――!!」

 足を貫いた灼熱に、口から押さえ切れなかった声が漏れた。
 痛い、痛い、痛い!! 何か鋭い物で足を抉られ、目尻に涙が浮かぶ。

 けれどもこれ以上の泣き言は私の意地と矜持が許さなかった。涙で滲んだ視界に映る巨大な影に向かって、無我夢中で手を向ける。そのままありったけのチャクラを込めて、相手を叩きのめす様をイメージする。

 半ば悲鳴の様な声が上がったのと同時に、大きな物が地に落とされた鈍い地響きが私の体の奥まで震わせた。

「貴様、何故……?」
「知るか! 勝手に体が動いたんだ、私にだって分かるか馬鹿野郎!!」

 押し倒した形のマダラが唖然とした声を上げているが、無視だ無視! つーか、マジで痛いよ!
 滲んだ視界を必死に凝らして、痛みの原因を見つめる。
 七尾の尾に砕かれて凶器の様に尖った長い木片が、私の足の防具の隙間を貫いた様だ。
 木遁使いが木にやられるなんて、洒落にならないよ……!

 そう言えばどさくさに紛れて一人称・私を使ったけど大丈夫だよね? どうでもいい事を考える事で、痛みから気を逸らす。

「こうなったのも、オレのせいだ。すまん、抑え切れなかった」

 ものすごく痛いが、足から破片を抜くのはもう少し我慢した方がいいだろう。
 普段から使用している自動治癒の術を意図的に解除して、敢えて負傷したままでいる。
 木片を取り除かないままに治癒を行えば、肉の中に破片が刺さった状態で傷口を治してしまう。
 それだけはごめんこうむる。

 木の欠片が止血弁代わりになっているので、出血に関してはそう考えなくてもいい。
 後で落ち着いた場所で処置を行うのが最善の手段だろう。

「――っつ! マダラ!」

 動けば同時に肉が抉られる。その痛みを必死に堪えて、覆い被さっていたマダラから身を起こす。
 低い声で名を呼ぶと、何処か動揺した様子のマダラの赤い目が私を見つめていた。

「そこらへんに、巾着が落ちていないか……? 中に兵糧丸が入ってる、筈だ」
「――……口を開けろ」
「おう! って、なんか普段よりマズイ!!」

 右手を七尾の方へと差し出したまま
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ