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木の葉芽吹きて大樹為す
双葉時代・対峙編<中編>
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るに値する人物と認めて、同盟を結ぼうと」

 うーむ。私はどうにも自分が知らないうちに試されていたらしい。
 これで、扉間や他の者達が来ていたら偉い事になってたな。

「ただでさえ我らの血継限界を狙う者は多い。例え同盟を結んだ相手であっても、信用出来ないのが現状です。ご不快に思われたかもしれませんが、日向としてもこの白眼を持つ以上、慎重にならざるを得なかった……申し訳ない」
「いえいえ。その気持ちはオレにもよく解りますから」

 ……死んだ後に目どころか細胞単位で欲しがられちゃう立場だからね、自分。
 他人に自分の体を好き勝手されちゃうかと思うと、鳥肌が立ちます。

「それでは今度の会合の際に、あなたの事を他の頭領達に紹介しますね。名高い日向一族も連合に入って下さると成れば、鬼に金棒です」
「こちらこそ、柱間殿の今後に期待している」

 お互いに深々と頭を下げ合って、その日の会談は終了した。



「では、我々はこの辺りで。――柱間殿、本日は真にありがとうございました」
「こちらこそ、長老殿のご英断に感謝するとお伝えください」

 帰道の護衛も兼ねて千手近くの集落にまで送ってくれた日向の若い忍びに頭を下げられ、私も頭を下げた。
 日向の人達が同盟に参加してくれた事は大きい。
 警戒心が高い日向の者達の信用を得られたと知れば、連合に興味はあるけれども、いまいち参加には決断が出来なかった他の忍びの一族達も、徐々に我々の方に接触を図る様になるだろう。

 そうして同盟者が増えれば増える程、私達の目標の達成に繋がる。

 千手の集落に繋がる森を軽やかな足取りで進む。
 嬉しくて嬉しくて、不謹慎かもしれないけど鼻歌を歌いたくなった。
 しかしその前に、私はふと香った慣れしたんだ匂いに鼻に皺を寄せた

 この鉄臭い香り……間違いない、血の匂いだ。

 腰に差した刀がいつでも抜ける様に手を置いたまま、木の幹に身を寄せる。
 他に気配はない。敵が潜んでいない事を確認して匂いの方向を覗き込んで、息を飲んだ。

 ――未だ歳若い、一人の忍びの死体。
 怨恨か、それとも合理的な思考によってか。その遺体は顔を潰されていた。
 周囲には遺体から飛び散ったとされる血が至る所に付着しており、その末路が悲惨な物であったと想像させる。

「この忍び装束からして、うちはの忍びなのか? それに……」

 両目に当たる部分を抉り出されている。写輪眼を狙った凶行なのか、それとも。
 しかし、うちはの忍びがなんでこんな所にまで来るんだ? ここは千手の領土に近いというのに。

「どちらにせよ、このままにしておけないよなぁ……」

 土遁で穴を掘って、木遁の棺で囲んだ遺体をその中に下ろして、土を被せてから地面を平
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