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木の葉芽吹きて大樹為す
双葉時代・対峙編<前編>
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ではないか?」

 殺気と同時に、放たれた鋭い剣戟。
 油断した訳ではないが、それでも反応が遅れた事は正直否めない。
 鎧の胸元に、深々とした大きな跡が出来る。

「ようやく、貴様と同じ舞台に立てたな」
「お前……!」

 私と同じ様に樹界降誕時に出来た巨木に足を乗せた青年の姿に、目を見張る。

 使用者でありこの森を操る私ならば、無数かつ無造作に生み出される木々の攻撃から身を守る事は容易いが、目の前の青年は己の持つ能力だけでそれを避けてみせたのか。
 そんな事が出来る忍びは今までに存在しなかっただけに、彼の行った事は驚愕に値する。

 背に瓢箪型の巨大な団扇を背負った、長い黒髪に赤い目の、見覚えのある青年。
 背負った団扇を軽々と片手で握りしめ、青年は三つの巴紋が浮かんだ瞳で私を見やる。

「――………うちは一族が頭領、うちはマダラ」

 尋常でない気迫を纏った青年が、朗々と自身の名を宣言する。
 成る程ね。前に私に向かって言ってのけた様に、とうとう此処まで昇って来たのか。

 初めて出会う今までに無い種類の敵の出現に、柄にも無く胸が高鳴る。
 青年の、否、マダラの赤い目から視線を逸らす事無く、刀を鋭く一閃して私も口を開いた。

「千手の木遁使いにして、千手一族の頭領・千手柱間だ」

 愉しくって、愉快な気分だ。
 それまでこの青年に感じていた思いやわだかまりが、マダラの口上に答えた事で一息に押し流されていく。
 それは最強の忍びと呼ばれ恐れられている自分に対して、真正面からぶつかって来る敵が本当に久しぶりであるせいだろうか。

 ――だから失望させるなよ?

 そう意味を込めた視線を向けると、マダラが高速で印を組む。
 轟々と燃え盛る巨大な火球が、私に向かって勢い良く放たれた。
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