第二話 天使その三
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それでも聞くのじゃ」
博士の影達に対する声が鋭いものになった。しわがれた声に鋭さが宿っていた。
「よいな」
「ちぇっ、頑固だなあ」
「まだ八十歳なのに」
「八十といえば人間ではかなりの高齢じゃぞ」
影達にこう言い返す。
「御主等と一緒にするな」
「まあそれはそうだけれどね」
「僕達はね。やっぱり」
「御主等には御主等の物指しがある」
博士は今度はこう述べた。
「それはわかっておくのじゃ」
「まあわかったことにしておくよ」
「それでさ」
影達はあまり反省していない様子でまた博士に声をかけてきた。
「あの若いのはどうなるのかな」
「ショックを受けているのは間違いないけれど」
「そんなものは乗り越えるしかないのじゃ」
博士は腕を組んで述べた。今は本から視線を離している。
「天使になったのは。因果律じゃからな」
「因果律ねえ」
「何度も言うが五十年に一度現われる」
それが天使だと。このことをまた言った。
「それはどうしても離れられぬ。天使になってしまったからにはどうしようもないのじゃ」
「戦うしかないんだね」
「うむ」
影達の言葉に対してしっかりとした顔で頷く。
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