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髑髏天使
最終話 日常その十三

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「それなりに長い付き合いだ」
「大学のお友達なのね」
「それは違うがな」
「ふうん。そうなの。まあとにかく」
 大学での友人ではないと聞いてもだ。未久は友人であることは間違いないと納得してだ。そうしてそのうえでだ。今度は死神に話した。
「じゃあお兄ちゃんのこと御願いしますね」
「こちらこそな」
 死神はクールな調子で彼女に返した。
「色々と助けてもらっている」
「お兄ちゃんにですか」
「そうだ。それでだ」
「それでなんですか」
「今はザッハトルテを食べる」
 そうするというのだ。彼の作ったザッハトルテをだ。
 それを食べると言う。そのうえでここにいるのだった。
 そのザッハトルテが来た。若奈が切ったものを彼女と彼女の妹達が店にいる全員に配ってだ。そうしてそこからまた話になった。
「ではだ」
「そうね。それじゃあね」
 若奈が牧村の言葉に微笑んで返す。
「皆でね」
「食べてくれ。当然俺も食べる」
「自分のものを食べてこそじゃな」
 博士はそのザッハトルテと牧村を見ながら話していく。
「料理じゃな」
「自分も食べてこそなんですか」
「自分で味わってこそじゃ」
 それでだとだ。博士は未久にも話した。
「よさがわかるのじゃ」
「味の良し悪しがですね」
「そうじゃ。わかるのじゃ」
 こう彼女に話すのである。
「よくな」
「よくなんですか」
「そうじゃ。己がわかってこそじゃ」
 博士は目を細めさせながら牧村の妹に話していく。
「全てがはじまるのじゃよ」
「そうなんですね」
「己を知ってこそじゃ」
 博士はまた話した。
「何もかもわかるのじゃ」
「その一歩なのですね」
 未久はこのこともわかったのだった。話を聞いていてだ。
「じゃあ。私もおにいちゃんを見習おうかな」
「俺を見習っても何もなりはしない」
 牧村は妹の言葉に即座に返した。
「他の人間を見習え」
「そこでそう言うのってお兄ちゃんよね」
 未久はその兄に対して言葉を返した。
「本当にお兄ちゃんよね」
「悪いか」
「別に。悪いとは言ってないわ」
 こう話すのだった。兄にだ。
「特にね。じゃあ見るから」
「見習わないのか」
「見習うなって言ったからよ。見てはいるから」
 見習うと見るは違うとだ。何気にこんな話にもなっていた。
 そうした話の後でだ。また未久が言う。
「じゃあ。お兄ちゃんのそのザッハトルテを」
「そうね。いよいよね」
 若奈が彼女の言葉に笑顔で応える。
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