最終話 日常その八
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「だからね。高校に入ったらね」
「アルバイトをしろっていうのね」
「そう。お小遣い増えるわよ」
「その場合お小遣いとは違うんじゃないかな」
父が横から母に言った。
「だって。この場合は」
「ああそうね、自分で稼ぐからね」
「うん、そうなるよ」
「けれどよ」
それでもだとだ。母の言葉は変わらない。
「お金が入るから」
「じゃあ好きなもの食べられるのね」
未久はそこから話すのだった。
「クレープとかマジックのスイーツとか」
「そうそう、マジックのスイーツも食べられるわよ」
「お店で働くからよね」
「これって大きいでしょ」
「確かに。それじゃあ」
未久はお金と食べ物の二つでだ。完全に乗った。こうしてだった。
彼女の高校生活も決まったのだった。そんな話をしてだ。
母はだ。牧村に対しても言ってきた。
「じゃあ来期。その時は未久を御願いね」
「何かあればか」
「そう、護衛役もね」
そちらもだ。頼むというのだ。
「いいわね。それもね」
「わかった。それではだ」
「そうしてもらうわね」
「何か色々な話がまとまってきたな」
父は何処か蚊帳の外という感じで述べた。
「ううん、来期も未久も成長してるんだな」
「そうね。それはね」
母は今度は妻として微笑んで答えた。
「子供は成長するものなのよ」
「そうだよな。気付いたらそうなるからな」
「そういうものよ。それで親はね」
「そうした子供を見守ることが務めか」
「親って文字はね」
文字の話になった。漢字である。
「木の上に立って見るよね」
「ああ。だからか」
「そうよ。見守っていきましょう」
「来期も大きくなったしな」
まずは牧村、自分の息子のことから話す父だった。
「そして未久もか」
「大きくなるわよ。背もね」
「ははは、大きくなれよ」
父は優しい声で娘の言葉に応えた。
「腕白でもいい。明るく育てよ」
「果てはカリスマウェイトレスよ」
もう目標を見つけている娘だった。笑顔での言葉だ。
「この腕一本でやっていくわよ」
「よし、頑張れよ」
「二人共ね」
父も母もだ。我が子達に話した。牧村は家族の中でもだ。いつも通りであり家族が育む温かい家庭の中にその身を置いているのだった。
マジックではだ。彼は。
カウンターにいてだ。若奈と話すのだった。
「ではいいな」
「うん、いいよ」
隣にいる彼女は真剣な顔で彼の言葉に頷いて応えた。
そしてだ。彼が取り出すそれを見るのだった。それは。
黒く丸いものだった。それを見てだ。彼女は再び言った。
「できたわね、遂に」
「ああ、できた」
彼もだ。若奈のその言葉に頷いて返す。
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