第六十話 最終その十六
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「まさにか」
「そうか。ならよかったな」
「貴様はこれからどうする」
「私か」
「そうだ、貴様はだ」
今度は彼が死神に尋ねる。
「どうするのだ。これからは」
「私は同じだ」
「同じか」
「私は死神だ。そのことは変わらない」
そうだというのだ。
「人の魂を冥府に送るだけだ」
「それを続けるだけか」
「私は死神だからな」
それでだというのだ。
「だからだ。そのままだ」
「そうか。そうなのか」
「ではだ。私もだ」
死神の前にだ。ハーレーが来た。彼の乗るそのハーレーがだ。
それが来てだ。そうして話すのだった。
「今は別れるがだ」
「また会うか」
「機会があればな」
彼もだ。こう言うのだった。
「また会おう」
「そうか。それではな」
「では俺もだ」
牧村も前にだ。彼のサイドカーが来た。そしてだ。
彼もそれに乗る。そのうえでだった。
彼もまたその場を去ろうとする。魔神達はその彼に。
「その機会があればですが」
「いいかな」
「何だ」
サイドカーに乗りながらだ。魔神達、人間の姿になっている彼等に応えた。
「まだ何かあるのか」
「あんたは喫茶店に入るのよね」
美女が彼に問うた。
「そうだったわね」
「そうだ。マジックという店だ」
「その店は美味いのか」
青年はそのことを問うたのだった。
「紅茶や菓子は」
「美味い」
牧村の返答は一言だった。
「何故ならだ」
「何故なら?」
「俺が淹れて作るからだ」
それでだというのだ。
「来るのなら楽しみにしておくといい」
「自信あるんだね」」
子供が彼のその言葉を聞いて言った。
「また随分と」
「来てみるか」
「そうだね」
一呼吸置いてからだ。子供は答えた。
「じゃあどんな味かね」
「飲ませてもらおうか」
大男も言った。
「そのコーヒーをな」
「楽しみにはしておこう」
紳士もだ。同胞達と同じことを言った。
「ただ。まずければだ」
「その可能性は絶対にないがな」
「言うものだな。そこまで自信があるのか」
「接客以外は自信がある」
流石にそのことについては自信があるとは言わなかった。牧村自身自分が無愛想であることはわかっている。だからこその言葉だった。
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