第六十話 最終その四
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「女の子も欲しいわ」
「両方なんですか」
「そう。けれど最初は男の子がいいかしら」
これが彼女の願いだった。
「お兄ちゃんって感じでね」
「お兄ちゃんですか」
「やっぱり。うちって男の子いなかったから」
このことを考えるのは彼女の姉と同じだった。やはり同じ姉妹だけはあった。
「それでなのよ」
「女の子よりも男の子が」
「最初は男の子ね」
また未久に話すのだった。
「それからも女の子よりもどっちかっていうと」
「男の子ですか」
「そう、そっちが欲しいわね」
どちらかというとだった。そちらだというのだ。
「できればね」
「そうですか」
「私は今は」
今度はだ。下の妹だった。彼女の言葉はあっけらかんとしている。
「そういうのはないです」
「ないの?」
「考えてないです」
明るく笑ってだ。未久に話すのだった。
「というかまだ。全然」
「考えられないの」
「だって私あれですよ」
笑いながらだ。未久と妹達に話すのである。
「小学校六年ですから」
「それじゃあなのね」
「結婚も考えられないですよ」
彼女の歳ではだ。そうなのだった。
しかしだ。彼女はこんなことは言うのだった。
「けれどウェディングは着たいですね」
「ウェディングドレス?」
「はい、それと白無垢」
つまりだ。花嫁衣裳をというのだ。
「着たいですけれど」
「憧れよね、あれは」
「はい、憧れです」
笑顔で話す彼女だった。
「あれは絶対に着たいです」
「それは私も」
「未久さんもですか」
「白い。ああした服着たいわ」
話は憧れについてのことになった。そちらにだ。
「夢みたいな話だけれどね」
「そうですよね。何か夢みたいですよね」
「うん、まだね」
そこまで考えられる年齢でもないのだった。
「結婚も」
「夢といいますか」
「現実じゃないみたい」
「けれどそれが変わってくんですか」
「成長していって」
そうしてだというのだ。
「わかっていくものなのね」
「お姉ちゃんを見ていると」
「そうなんですよね」
未久はその若奈に対して問うた。
「やっぱり。そうなりますよね」
「ええ、そうよ」
その通りだとだ。若奈も答える。
「人ってただ歳を重ねるだけじゃないから」
「成長していくんですね」
「ええ、そうよ」
まさにだ。そうだと話す若奈だった。
「人間ってそういうものなのよ」
「成長ですか」
「いい成長もあれば悪い成長もあるけれど」
それはあるというのだ。若奈は未久と妹達にそのことは話した。
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