第六十話 最終その二
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「だって私も飲むから」
「ああ、お姉ちゃんもなの」
「ミルクティー飲むんだ」
「そうよ。それで四つよ」
それでだと話すのだった。
「そういうことだから」
「四つね。そうね」
「丁度四人いるんだし」
「だからね」
「そうよ。それにね」
そこにだった。さらにであった。
二人の妹達はだ。若奈にこんなことも言った。その言ったこととは。
「もうちょっとしたら四人姉妹になるわよね、私達」
「そうそう。四人にね」
「なるのよね。未久ちゃんも入れて」
「そうなるよね」
「あっ、そうね」
未久もだ。笑顔になってであった。二人の言葉に頷いた。
「お兄ちゃんと若奈さんが結婚したらね」
「それで四人よ」
「四人姉妹になるのよ」
「若草物語ね」
「それになるわよね」
こう話す妹達だった。その話を聞いてだ。
若奈は紅茶の用意をしながら微妙な顔になる。そうしてこう話すのだった。
「私、本当はね」
「本当は?」
「っていうと?」
「お兄ちゃんか弟が欲しかったのよ」
微妙な顔がだ。残念そうな顔になった。
その顔でだ。彼女はさらに言うのだった。
「それでも。私が最初で」
「で、続いたのが私達」
「三人姉妹になっちゃったね」
「従姉の千里さんもだし」
若奈はその人の名前も出した。
「そういう血筋なのかしらね」
「三人姉妹ってあれですよね」
ここで話す未久だった。
「ほら、王監督とか」
「あの人も?」
「そう、あの人もですよね」
王貞治のことだ。球史に残る最高のスラッガーである。本塁打数八六八本はだ。今も尚世界記録である。監督としても二度の日本一を経験している。
「娘さんばかりで三人ですよね」
「そういえばそうだったわね」
若奈も未久のその言葉に頷く。
「あの人も」
「はい、他には中西太さんや中村紀洋さんも」
未久は歴代のスラッガー達の名前も出していく。
「娘さんは三人姉妹でしたよ」
「じゃあお父さんってスラッガー?」
「そうなる?」
若奈の妹達は未久の話を聞いて述べた。
「千里さんの家の方も」
「中村さんの方も」
「まあそうなるかしら」
未久はこう姉妹に答えた。
「けれど。それが四人になるのね」
「妹がもう一人増えるの」
若奈はまた微妙な顔になった。
「ううん、こうなったら」
「こうなったら?」
「どうするの?」
「子供は男の子がいいわね」
その顔でだ。若奈は言った。ここで紅茶が全部できた。
そのうちの三つを三人に出して一つを自分の手に取ってだ。それでだった。
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