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髑髏天使
第五十九話 精神その十二

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 彼等は先に進む。混沌の最も奥にだ。
 その中でだ。ふと彼は言った。
「やはり。この戦いが終わればだ」
「終わればか」
「元の世界に戻ってだね」
「楽しみたい」
 望みだった。それを口に出したのだ。
「是非な」
「髑髏天使としての戦いは終わるな」
 ヤクシャが話す。
「少なくともな」
「それが終わればだ」
「人間の生活を送るか」
「戦いはもうしない」
 髑髏天使としてだ。それは完全に終わるというのだ。
「これでな。しかしだ」
「しかしか」
「また違う戦いがあるのかもな」
 その可能性は否定しないのだった。
「人間の一生は生きていてそれが続くのだからな」
「人間の戦いはあらゆる形があるのだったな」
「剣や銃を手に取ってだけではない」
 まさにだ。そうだというのだ。人間の戦いは戦争や闘いだけとは限らないのだ。実に様々な形でだ。あらゆる対象に行われるものだ。
 その中でだ。彼は言った。
「菓子や。そうしたものとの戦いか」
「それになるのだな」
「そうなるな。だがその戦いにもだ」
 どうかというのだ。その戦いにだ。
「俺は勝つ」
「勝つか」
「そうだ。勝ちだ」
 そしてだというのだ。
「生きる。二人でな」
「成程な」
 バンパイヤがだ。髑髏天使の今の言葉にだ。
 何か納得した感じになってだ。こう言った。
「二人になるのか」
「喫茶店に入ることになっている」
 若奈とのことをだ。自然に話すのだった。
「そしてその中ではだ」
「菓子との戦いか」
「美味い、誰からも喜んでもらえる菓子を作る」
 そうするというのだ。
「必ずな」
「お菓子だね」
「いいのう」
 クマゾッツとバーバヤーガが楽しそうに言ってきた。
「じゃあこの戦いの後でね」
「わし等も来ていいか」
「店にか」
「うん、髑髏天使のいるその店にね」
「そのお菓子を食べにじゃ」
「金は払え」
 これが髑髏天使の彼等への返答だった。
「馴染みでも店は店だ」
「わかってるよ。お金は払うからね」
「安心してよい」
 こう返す彼等だった。
「ではじゃ。その時はじゃ」
「楽しみにしている」
 髑髏天使はバーバヤーガに返した。
「貴様等が俺の菓子を食べる日をだ」
「さて、それでなのですが」
「どうした味かしら」
 今度は百目とキリムが言った。
「髑髏天使の作ったお菓子は」
「美味しいのかしら」
「少なくとも俺からしてみれば美味い」
 本人が食べるとだというのだ。
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