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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#09 "abnormal"
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……クソッ!やっぱ行くんじゃなかったぜ。
ゼロ!アンタも下らねえ話したんじゃねえだろうな?」

イライラとタバコを噛みながら運転席に座るゼロの後頭部にぶつけるように言葉を投げ掛ける。

あーまだ腹の虫が収まらねえ。ロックの頭でも蹴っ飛ばしてやろうか。ローワンの野郎… うちの取引相手じゃなきゃ、あの良く動く口縫い付けて中に糞でも詰め込んでやるのによぉ……ダッチの顔潰すわけにもいかねえしなあ。

「ローワンからか? お前を説得するように言われたよ。序でに俺も相手役にスカウトされたな。ギャラは弾んでくれるそうだ」

アタシはその時即座に銃を抜かなかった自分を誉めてやりてえ気分だった。
すぐ店に引き返せ、って怒鳴らなかった自分もな。けどまあ、床を踏み抜きそうなこの右足の動きを止める気は全くねえけどな。

「それで。アンタは何て答えたんだ?」

我ながらいい声出てるぜ。身体ん中の奥の奥の深えとこからやってくるような低い声がな。

「勿論キッパリと断っておいた。それと少し話もしてきたぞ。いい加減人の大事なパートナーにあまり下らん提案を持ち込むな、とな。
まあ、ローワンだから大して効果があるとは思えんが、一応言うだけは言っておかないとな」

ちっ。格好つけんなよ。

床を踏みしめてた右足を左足の上に乗せ、何となく窓の外へと視線を移す。噛み締めてたタバコに手をやり一息吸い込む。

やっぱダッチやベニーとは違うよな。あの二人だったら面白がって、やりゃあいいじゃねえか、見に行くぜくらい言うだろうしな。

「ああ、そう言えばロックも誘われていたな。特に断ったりはしていなかったようだがな」

外を眺めてたアタシの耳に聞き捨てならねえ台詞が飛び込んでくる。

へぇー ほぉー はぁーん。

アタシは特に反応しねえままだったが、前の席じゃ馬鹿が一人で何かほざいてやがる。 それを横目で見ながら、アタシは足を組み換えながらゼロに訊ねた。

「まあ、んな事あどうでもいいけどよ。次は何処へ行くんだ?」

「『ブーゲンビリア貿易』だ。
頼まれてた荷の仕入れが遅れるそうなんでな。そのご報告さ」

ああ、サータナム・ストリートに向かってんのか。言われてみりゃ外の風景も確かに、な。
相手次第じゃ車に残っとこうかと思ったけど顔くらい出しとくか。相手が相手だしな。

「え?『ブーゲンビリア貿易』って、何してるとこ?」

オイオイ呆れるぜ、コイツ。んな事も覚えてねえのかよ。シート越しに見えるタコの横顔を思わず睨みつけちまう。本気で能天気な野郎だな。

「名前の通りさ。色んなものを仕入れてこの街でサバく。ロアナプラで根を張る勢力としちゃ一、二を争うとこさ。うちも関わりが深いんでな。失礼のないようにしろよ」

簡単に頷い
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