第五十八話 嘲笑その十九
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その瞬間にだった。神もだ。
赤と青の二色の炎にだ。完全に包まれてしまった。そして。
光も虹もだ。消え去ってしまった。勝敗がこれで決した。その中でだ。
神はだ。二色の炎に包まれながら言うのだった。
「決まったか」
「貴様の敗北だ」
髑髏天使が神に告げる。
「見ての通りだ」
「そうだな。敗れたのは私だ」
神自身もだ。それを認めて言うのであった。
「その通りだ」
「潔いな。敗北を認めるのか」
「否定して何になる」
それをしてもだ。どうかというのだ。
「それでだ。何になるのだ」
「敗北を否定してもだ」
どうかとだ。髑髏天使も話してみせる。
「貴様が滅びることは変わらない」
「そうだ。だからだ」
「私はそのことを認める」
神はまた言ってみせた。
「否定してもだ。私は滅びるのだ」
「そういうことだ。言葉で否定しても事実は変わらない」
「ましてや私自身のことだからな」
「ではそのままか」
「滅びよう。では行くのだな」
神は既にその身体の半分以上を炎に包まれていた。
そしてその炎の中でだ。髑髏天使達に言うのだ。
「先に」
「そうさせてもらう」
「私達は貴様に勝った」
死神もまた神に告げる。
「それならばだ」
「そうだな。我が兄弟達」
「兄弟だというのか」
「そうだ、兄弟になる」
それだと話す神だった。
「私達は混沌の中で同時に生まれたのだからな」
「それがですか」
「御前さん達なのじゃな」
百目とバーバヤーガが神の話を聞いて言う。
「混沌の原初の神々」
「その三柱の神々じゃな」
「そういうことだ。我が兄弟であるヨグ=ソトホートとアザトース」
彼等の名前も言うのだった。その兄弟達のだ。
「彼等のところに行くのだな」
「では貴様はここでか」
「私は滅びる」
そのことをだ。何でもないというのだ。
「それを見ることはできない」
「我々の最後の戦いをか」
「それをだね」
死神と目玉が言う。
「その二つの戦いを見ることはだな」
「決してできないんだね」
「その通りだ。貴様にそれはできない」
また言う神々だった。そんな話をしてだ。
神はだ。炎の中に消えようとする。その中で最後の言葉を言うのだった。
「我が兄弟達を見てもだ」
「驚くなというのか」
「そうだ」
その通りだというのである。
「それは言っておこう」
「好意の言葉ではないな」
「警告だ」
無論それではなくだ。そちらだというのだ。
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