第五十八話 嘲笑その八
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「俺はその原初の狂気に打ち勝った様だ」
「私もだ」
「僕もね」
今度は死神、そして彼と一つになっている目玉が答えた。
「秩序は混沌に勝った」
「少なくとも今はね」
「我々もです」
魔神達もであった。百目が言うのだった。
「こうして貴方のお姿を見てもです」
「何ともない」
「確かに不気味なものは感じるけれど」
「それでもだな」
他の魔神達も神に言う。そのナイアーラトホテップにだ。
「全くな」
「狂いはしない」
「何一つとして」
「それだけ精神が強くなっているか」
神は口を開いて言った。見ればその口にある歯はだ。人のものだ。
しかし普通の歯ではなかった。三列あった。
その三列の歯でだ。神は言うのだ。
「髑髏天使も貴様等も」
「その通りだ」
髑髏天使が神のその言葉に答えた。
「俺だけではなくだ。全員だ」
「これまでの戦いと生きてきたことでだ」
「そうなったんだよね」
死神と目玉の声が同時に出された。
「私達はそれだけ強くなった」
「君達の姿を見ても大丈夫なだけね」
「面白いことだ」
そこまで聞いてだ。神は嘲笑する様に返した。
「実にだ」
「貴様と戦えるからか」
「それでか」
「貴様等の言葉で狂うという」
こう話してからだった。さらにだ。
「原初に戻るのを見るのもまたいいがだ」
「それでもか」
「それでもだというのだな」
「そうだ。戦えるのもまたいいものだ」
髑髏天使と死神に対して述べた言葉だった。
「では。はじめるとするか」
「そうだな。貴様を倒してだ」
「混沌の中枢にさらに入る」
「そしてこの戦いをだ」
「完全に終わらせる」
そう話してだ。彼等はだ。
それぞれ戦う姿に入った。その中でだ。
魔神達は神を囲んだ。左右だけでなく上下からだ。
しかしだ。今はだった。
彼等は動かない。もっと言えばだ。
「参ったわね」
「そうだな」
ウェンティゴが九尾の狐に対して述べた。
「攻めたいけれどね」
「そうはいかない様だな」
それがどうしてかもだ。彼等はわかっていた。
そのこともだ。彼等は言うのだった。
「この気」
「ここまでとはな」
「何度も言うが私は原初の存在だ」
そのだ。はじまりからいる存在だというのだ。
「混沌、この世のはじまりのな」
「だからね」
「それだけの力があるというのね」
「その通りだ。その私に勝てるのか」
そうした話をしてみせる神だった。
「果たしてな」
「時としてだ」
ここでだ。髑髏天使もだ。既に神を取り囲む中にいる彼も言うのだった。
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