第五十七話 挨拶その二
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「言えぬからのう」
「言えばどうなる」
「さて、見当もつかぬ」
牧村に対しても話す。
「まあ命か記憶が危ういのう」
「それはな」
「流石になんだ」
「博士でもあそこには勝てないんだ」
「宮内庁には」
「宮内庁に喧嘩売ったら恐ろしいぞ」
博士は真顔で言った。
「それこそなのじゃよ」
「命か記憶が危ないんだ」
「そうなるんだ」
「そうじゃ。例えばじゃ」
博士の例えはだ。恐ろしい事実を元に話された。
「あの政治家おったじゃろ。岩手の」
「ああ、あいつね」
「あの大臣したことないけれど実力者の」
「御職で何もかも失ったあいつだね」
「マスコミ手なずけるのだけ上手な」
「そうじゃ。あれが何もかもを失ったのもじゃ」
どうかというのだ。それについてだ。
「宮内庁に喧嘩を売ってからじゃったな」
「関連性あったんだ、あれ」
「そうだったんだ」
「それについては誰も言えぬが」
それこそ言ってはならないことだった。
「そういうことじゃよ」
「それで説明つくのがねえ」
「あそこの怖いところだよね」
「全く。何ていうかね」
「妖怪でも相手できないしね、あそこは」
そんな話をしていてもリラックスはしていた。そしてだ。
そんな話の中でだ。また話す牧村だった。
「ではな」
「あれ、他の場所に行くの」
「そうするんだ」
「そのつもりだが」
妖怪達にこう返すのだった。
「また行く」
「いやいや、待ってくれ」
その彼をだ。博士は呼び止めた。そうしてであった。
牧村にだ。あるものを勧めた。それは。
「クレープか」
「うむ、好きじゃったな」
「クレープも好きだ」
実際に好きだと話す彼だった。
「中身にもよるが何でもだ」
「そうじゃな。それではか」
「もらっていいのだな」
「是非な」
貰うと返す彼だった。そうしてだ。
その手にクレープを貰った。包みになっている。
黄色いその中に黒と白、黄色が見える。この三色は。
「チョコにバニラアイスか」
「それとバナナじゃよ」
「その三つが中に入っているのか」
「どうじゃ?よいじゃろ」
「いいな。美味しそうだ」
牧村は声に喜びを込めて応える。
「ではだ。早速だ」
「食べるのじゃな」
「そうさせてもらう。そしてだ」
そのクレープを手に取って食べながら話す彼だった。
「帰ったらだな」
「うむ、ケーキじゃ」
「皆で食べようね」
「それもお腹一杯ね」
妖怪達も笑顔で言う。そうしてだった。
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