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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#08 "let\'s go to excursion!"
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してやれ」

「え、あ、ああ」

運転席でハンドルを握ってたゼロが助手席のロックに声を掛ける。
相変わらず何処見てんだか解んないような顔で、よく周りを見てる野郎だ。

「レヴィ」

「ん?」

助手席からロックが身体を捻りながら、火を差し出してくる。アタシもシートから腰を浮かして、前の椅子の背を掴みながら、二人の間に顔を突っ込むようにして差し出された火にタバコを近付ける。
深く一息吸い込んだ後シートに座り直し、車の天井に向かって煙を吐き出す。
そうする事で漸く頭が目覚めてくる。頭ん中に巣くってたゴミやらホコリやらが煙と一緒に追ん出ていくような感覚。吐き出した煙は走ってる車ん中から開きっぱなしの窓を通し、流れ出ていく。

………いい天気だな、今日も。

朝からゼロとロックの奴が二人して部屋まで起こしに来た時は何事かと思ったけどな。三人仲良く車でダッチのおつかいとはね。まあ、たまにはそういうのもいいか。

「レヴィ、済まなかったな。気持ちよく寝てるところを起こしてしまって。正直俺一人でも問題はないんだがな」

ハンドルは握ったままでゼロの奴が前の席から話し掛けてくる。コイツの運転も久し振りだ。
何でも本来はベニーが行く筈の仕事だったらしい。実際今アタシらが乗ってんのもベニー御自慢の愛車だしな。
ところが、昨日の夜にエダの馬鹿に酔い潰されちまったらしい。あのアバズレ………アタシがいねえ時に好き勝手やりやがって。

「別に構わねえさ。どうせ暇もて余してる身だ。相棒に付き合うのも悪くない。 けど、ロックも一緒に連れてくんだな。何かダッチに言われたのか?」

チラッと助手席に目を遣りゃ、ロックの奴は相変わらずネクタイみてえな首の締まるもん巻いて大人しく座ってやがる。
何度か、んな暑苦しいスーツなんぞ脱いじまえって言ってやったんだが聞きゃしねえ。
よくやるよ、割合頑固だなコイツも。

ん?今、ロックの奴ルームミラーでアタシの事見たか?

「ロックを連れてきたのは俺の判断だよ。うちの取引先と顔合わせをさせとこうと思ってな。後はまあ、社会見学も兼ねてるかな」

社会見学? 何だそりゃ?

眉をしかめたアタシの表情(かお)を読み取ったんだろう。ゼロが言葉を足した。

「日本の学校じゃあ子供たちに、工場やら地元の旧跡を訪ねるっていう授業をたまにやってるらしい。机に座り込んでるだけじゃ分からない事を実際に目の当たりにさせて教えよう という目論見らしい」

へえ、またつまんなそうな事やるんだな。

タバコをくわえたままぼんやりと、ゼロの話を聞く。
そういやコイツ、何でそんな事知ってんだろうな? 日本のガキどものお勉強内容までな。 ダッチもそうだけど、変な事に詳しいんだよな。 ベニーは|コンピュー
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