第五十六話 使長その七
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「他のものもだ」
「食べたのかよ」
「アイスだけでもいいってのに」
「他に何食ったんだ?」
「それで何をなんだよ」
「メロンだ」
それをだと。やはり正直に話したのだった。
「それとだ」
「おい、まだあるのかよ」
「アイスにメロンにまだかよ」
「随分と豪勢だな」
「アルコールを抜いたブランデーだ」
最後の最後までだ。正直に話したのだった。
「その三つだ」
「凄いな、おい」
「何か話を聞いたら俺もな」
「俺もだよ」
彼等は羨ましい顔でそれぞれ言う。
「博士のところ行くか」
「それでアイスとメロン貰うか」
「そうするか?」
「だよな」
「博士は誰も拒まない」
とりわけこの学園の生徒ならだ。博士のお菓子や果物は実は無尽蔵とも思える程あるのだ。ただしどの冷蔵庫に収めているかは謎である。
「そうするといい」
「だよな。じゃあ行くか」
「この講義の後でな」
「そうするか」
「けれどな」
ここで一人がこんなことを言った。
「またアイスとメロンが出て来るとは限らないよな」
「だよな。あの博士ってその都度出してくれるもの違うからな」
「チョコレートだったりケーキだったり」
その他にはだ。こうしたものもあったのだ。
「クレープだったりな」
「あんみつだったこともあるよな」
「杏仁豆腐もあったしな」
「色々食べる人だからな」
「だからな。何が出て来るかな」
「わからないんだよな」
それが博士であった。
「けれどそれがだよな」
「そうそう。だからこそな」
「楽しいよな」
彼等は笑いながら話していく。
「何が出てくるかわからないからな」
「しかも美味いことは保障されてるしな」
「確実に楽しみがあるからな」
「だからいいんだよな」
「博士もだ」
牧村もここで話す。
「誰かが来るのを待っている」
「俺最近それがわかったんだよ」
「俺もな」
「俺もだよ」
ここで友人達は笑いながら話していく。
「最初見た時何だこの人って思ったけれどな」
「見るからに怪しいからなあ」
「白い髭だらけの顔に黒い服」
そうした外見がだ。余計にそう見させているのだ。
「外見まんまだからな」
「マッドサイエンティストっていうかな」
「理学博士だったよな」
「工学博士でもあったよな」
博士の博士号の話にもなる。
「医学博士でもあったよな」
「他にも色々あったよな」
「文学に哲学に」
「それに法学に」
「博士号幾つも持ってるからな」
それが博士なのだ。その仇名は伊達ではないのだ。
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