第五十五話 魔水その二十二
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「先程の光だが」
「見ていたのだな」
「あれは今の天使の力ではないな」
男は牧村に問う。
「そうだな」
「確かにな。あれはそれ以上の力だ」
「九つの階級以上の力か」
「それは何かだが」
「貴様は知っているのか」
「それは貴様で調べて知るのだな」
男は言わなかった。そのことはだ。
そうしてだ。あらためてこう牧村に言うのであった。
「そうするのだな」
「俺自身でか」
「それをする手段はあるな」
「ない訳ではない」
実際にそうだと答える牧村だった。
「調べてもらうことはできる」
「ではだ。そうするのだな」
「少しは聞いているがな」
ふとだ。博士の言葉を思い出して言ったのである。
「だが詳しくではない」
「そうか。詳しくはか」
「詳しく聞いておくことにしよう」
「ではだ。次の戦いはだ」
「貴様のその腹心か」
「その神と戦いだ」
そうしてだ。それからだというのだ。
「それに勝てばだ」
「貴様か」
「貴様と戦うのだな」
牧村だけでなく死神もまた男に対して言う。
「混沌の中心にか」
「いよいよ迫るか」
「混沌の中心には三柱の神々がいる」
男の背に黒い光が走った。それを背にしての言葉だった。
「その一柱が私だ」
「そして残りの二柱」
「それが貴様等なのだな」
「そうだ。その三柱には尋常なことでは勝てはしない」
こうだ。黒い光を背にしたまま話すのだった。その有り得ない光はだ。男を照らすのではなくだ。その中に隠してしまっていた。
だがそれでいてだ。姿は見えていた。光の中でだ。男はその姿をはっきりと見せていてそのうえで彼等に対して話すのである。
「私を含めてな」
「その時が最後の戦いか」
「それのはじまりだな」
「混沌との最後の戦い」
「それのだな」
「それがどうなるか」
そのこともだ。男は話す。
表情はない。だがそれでも言葉が出されていた。
「楽しみではあるな」
「破壊と混沌の世界にすること」
「それがだな」
「それが楽しみだ、ではだ」
ここまで話してだ。そうしてだった。
男はその黒い光の中に消えた。やがて光も消えてだ。
後には何も残っていなかった。それを見届けてだ。
魔神達も姿を消した。それからだった。
死神もだ。男に話すのだった。
「また帰るか」
「そうするか」
「そしてだ。また会おう」
こう話すのだった。そうしてだった。
己の前にハーレーを呼んでだ。それに乗ってだ。
姿を消した。そして牧村もだ。
その場を去ろうとする。だがふとだった。
思いなおしてだ。懐から携帯を出した。そしてそれをかけてだ。話す相手は。
「何、お兄ちゃん」
「今は何をしている」
「何を?」
「そうだ、何をだ」
こう
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