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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#06 "fictional mask"
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して目の前にいる男、ゼロ。
ラグーン商会の誇る掛け値無しの"実力者"だ。
ここロアナプラでの有名人を挙げろと言われれば、先ず『ホテル・モスクワ』のバラライカ。『三合会』の張維新。この二人がリストのTOP2を占めるのは疑い無い。ただ二人の場合は、その自身が率いている組織も含めての名声だということは考慮に入れなくてはならない。
そもそも『ホテル・モスクワ』『三合会』自体がこのロアナプラに於ける実力ある組織の双璧なのだ。
そこのトップである二人が有名であるというのは極々当然な成り行きではなかろうか。
その点、ラグーン商会の二人は違う。
純粋にその"実力"のみで街に名を轟かせている。
ただ……………
今、私の横で大人しく酒を飲んでいるこの男。
この男についてはよく判らない事も多い。
例えば
二挺拳銃
(
トゥーハンド
)
が有名になるのは非常に納得いく話だ。
何しろアイツの戦い方はとにかく派手だ。
以前この店にE・O社の傭兵が乗り込んで来た事があったらしいが、後に目撃者連中が随分嬉しそうに語っていたのを確認している。
曰く、舞うように戦っていた。曰く、
弾丸
(
たま
)
の方から避けていった。 曰く、笑顔がゾッとするくらい綺麗だった………
最後の意見は無視するとして。
要するに華がある、というやつだろうか。アイツはこの街では恐れられつつも、どこか街の男連中には気に入られている節がある。
正直その辺りの男心理というものは理解し難いのだが………
逆にゼロはと言うと、だ。
レヴィのように派手に戦うわけではない。
バラライカと張が繰り広げたというような過去の逸話を持っているわけでもない。
別に何かをしたわけじゃない。
派手な活躍は何一つしてない。
組織をバックにしているわけでもない。
だが、街の連中なら誰もが彼の名を知っている。街の人間なら誰も彼に喧嘩は売るなんて真似はしない。
そんな事はこの街で暮らす上での常識だ。分からない奴はただのモグリだ………
冷静に纏めてみてもただただ困惑するだけだ。
こんな男には今まで出会った事がない。似たタイプですら皆無だ。
本当に何者なんだろう、コイツは。
"私のような立場の人間"にとって、分からないという事は非常によろしくない。
故に私はコイツを知らなくてはならない。
何でもいい。情報なんて何が使えるかは分からないものだ。
コイツに本当に
背後勢力
(
バック
)
はいないのか。
コイツは何を考えている?
コイツは何を知っている?
コイツは何をしている?
コイツは結局"何者"なのか?
サングラスの奥から、凝視するように観察の眼を送る。
だが、その横顔からは何も読み取れない。
"私の本当の仕事"にもどこまで気付いているのか………
全く厄介な
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