第六十話 真の自由
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四段を」
「わかりました。では」
それを受けて暗誦をはじめた。
「全てに平等なるは、死と破壊……万物は無から生じ、無へと帰る」
「その言葉は」
ファングが呻き声に似た声をあげる。
「ヴォルクルスの書の一部か」
「ええ。そしてそれが終わり生け贄を奉げた時にヴォルクルス様が甦られるのです」
「手前等、最初からそのつもりだったのかよ」
「騙される方が悪いのですよ。騙される方がね」
ルオゾールはそう答えてうそぶいた。
「ではシュウ様、生け贄を」
「わかりました。では」
暗誦を終えたシュウはマサキ達に顔を向けて来た。殆どの者が彼を怒りの目で睨み据えている。
「手前、許さねえからな」
「シュウ様、わたくしはシュウ様の御為ならこの命を放り投げても惜しくはありません」
「ですから文法が変ですよ、モニカ」
シュウはそう答えながらまた言った。
「モニカ、ヴォルクルス様の復活には信頼していた者に裏切られた絶望と悲しみの感情が必要なのです」
「はい」
モニカはその言葉に頷いた。
「そしてそれが強ければ強い程」
「ヘン、なら全く意味はねえな」
甲児が悔し紛れのようにこう言った。
「俺達は最初から手前をあんまり信用してなかったんだ。それでどうして信頼していたなんて言えるんだよ」
「ですね。それは私もわかっています」
「それならとっとと解放しやがれ!今すぐぶちのめしてやっからよ!」
「まあ話は最後まで聞いて下さい」
激昂する甲児に対して穏やかに言う。
「そう、信じていたものが崩れ去る時の絶望感。今の貴方達にはありません」
「シュウ様」
ルオゾールが痺れを切らした様に声をかけてきた。
「わかっています。それでは」
シュウはそれに応えてにこりと笑ったままネオ=グランゾンをルオゾールのナグツァートに向けた。そして言った。
「絶望よ・・・・・・今!」
一条の雷が落ちた。そしてそれは何とルオゾールのナグツァートに落下したのであった。
「なっ!?」
これには一同思わず息を飲んだ。
「どういうことだ一体」
「ナグツァートが。落雷に撃たれた」
「な、何が一体・・・・・・」
落雷に撃たれたルオゾールはそれでも生きていた。だが全身、そしてナグツァートに大きなダメージを受けており最早幾許もないのは誰の目にも明らかであった。
「シュウ様、これは一体」
「ふふふ、ルオゾール、どうですか」
彼は虫の息の彼に笑いながら声をかけてきた。
「信頼していた者に裏切られるというのは」
「シュウ様、これは」
サフィーネも驚いて声をあげる。
「何もありませんよ、生け贄を捧げただけです」
「生け贄を」
「ええ」
シュウはしれっとした態度で答える。
「言った筈です。信じていた者に裏切られた絶望と悲し
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