第五十五話 兄と妹(前編)
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ね」
「何故そのようなことを」
「これからの為に結束を固めたいのだろう」
フィリオはこう分析していた。
「ネオ=ジオンは火星の後継者達と同盟関係にある。そしてかってのジオンの戦力をそのまま受け継いでいる」
「はい」
「けれどそれだけじゃ足りないらしいんだ」
「それでは何故ここで戦力を減らすようなことを」
「ただ戦力の問題じゃないんだ」
彼はまた言った。
「ネオ=ジオンは同床異夢ではやってはいけない。そういうシステムなんだ。その為には考えが異なる者達を入れておいてはならない。それだけで組織として立ち行かなくなる」
「何故」
「それは独裁体制だからだよ」
フィリオは一言でネオ=ジオンのシステムを看破した。
「ミネバ=ザビを頂点とするね。ネオ=ジオンはザビ家が頂点でありザビ家の為に存在しているんだ」
「ではジオンの大義は」
「ある意味においては正しいけれどある意味においては間違いだ」
ジオンの大義についても指摘した。
「だから。それに納得できない者は去れということなんだ。内部で何かあっては外に向かうことはできないから」
「そうでしたの」
「そして私は今ハマーン=カーンに会ってきた」
「まさか」
「そのまさかさ」
そう言ってにこりと微笑んだ。
「ネオ=ジオンから脱退することを伝えてきたよ。もう私はネオ=ジオンの人間じゃない」
「・・・・・・・・・」
スレイはそれを聞いて沈黙してしまった。何も言うことはできなかった。
「けれど御前は違う。自分のことは自分で決めてくれ」
「自分で」
「ネオ=ジオンに残るのも。出るのも。全て自分で」
「私自身で」
「そうだ。私はもうネオ=ジオンを出て安西博士やオオミヤ博士の方へ向かうけれどね」
「御一人でですか」
「私は軍人ではないし。別に構わないさ」
「けれど私は」
「ベガリオンは一人乗りの筈だけれど」
「しかし」
「だから自分で決めるんだ。いいね」
「・・・・・・わかりました」
そう言われて止むを得ず頷いた。
「それでは」
「そうだ。けれどさっき言ったことは覚えておいてくれ」
「さっきの言葉を」
「アルテリオンとベガリオンは二つで一つなんだ。それを覚えておいてくれ」
「はい」
スレイはこくり、と頷いた。
「そこに御前の道があると思う。いいね」
「わかりました」
「色々と断ち切らなければならないものもあると思う。けれどそれを断ち切らないと前へは進めない」
「はい」
「私が言えるのはそれだけだよ。後は全部御前で決めるんだ。いいね」
「それしかないのですか」
「ああ。それじゃあこれで私は去らせてもらう」
「もう」
「長くいる必要もないしね。それじゃあ」
こうして兄は去った。部屋にはまたスレイだけが残った。
「私で
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