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アーチャー”が”憑依
二十二話
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いた側が剣の質を相手方と同じものに切り替える。それを望むところだと言わんばかりに今まで以上の力を持って迎え撃つ。二人の中心で刃がぶつかり合い、周囲に初撃波をまきちらす。

「その年でこの実力。見事です」

 眼鏡をかけたスーツ姿の女性。手に野太刀を持ちて技の剣を振っていた葛葉刀子は対峙する少女に惜しみない賞賛を送る。それほどまでに少女の剣腕は素晴らしかった。刀子はこの少女と同じくらいの年頃の子を指導している。そちらの子も才能に溢れ、年にしてはかなりの実力を有しているが、この少女はそれを凌駕している。

「そちらこそ、見事な腕だ。神鳴流、といったか。その剣技、思わず見惚れる所であった」

「光栄ですね。一剣士として、貴方と長く戦ってみたい所ですがそうもいきません」

 何せ貴方は多くの同僚を倒した侵入者ですから、と刀子は続ける。そして、全身に気を漲らせ大技を放つ体勢に移行する。それを見て、少女も剣を構え直す。

「いきます」

 刀子は一度目を閉じ、それを見開くと同時に技を放つ。

 ――――神鳴流、極大雷鳴剣!

 雷へとその姿を変えた気が斬撃に乗せて放たれる。殲滅攻撃としても用いられるこの技は、とてもではないが先ほどの少女の立ち位置でかわしきれるものではない。仕留めた。そう刀子は確信した。だが……

「な、んですって!」

 雷の斬撃、その真っ只中を突っ切って来る少女を目にし彼女は茫然としてしまった。そして、斬撃を抜けた少女の剣の柄による一撃をみぞおちに無防備に受けてしまう。

「な、ぜ……」

 意識が段々と薄れていく中、刀子は問いかけた。先の一撃、まともに受ければあのタカミチでさえも無傷ではいられない威力だったはずだ。だが、少女は服が所々焦げてボロボロになっているものの無傷だ。

「私は生来より、魔力や気に対する抵抗力が高い。それも人並み外れて」

 少女の返答を聞き届けると同時に、刀子は気を完全に失った。

「ネギ・スプリングフィールド……」

 少女は呟く。己が目的の人物。彼と対峙するのは何時になるのか。思いをはせながら。
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