第3章 白き浮遊島(うきしま)
第23話 ルイズに王命?
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解除するハルファス。その直後、ドアを蹴破りかねない勢いで室内に突撃して来る赤い影。
……って言うか、これは壊れたな。このドア。
そして、そのままの勢いでハルファスに体当たりを食らわせる赤い影、だったのですが、流石は魔界の大伯爵。所詮は人間の女の子に過ぎないキュルケの突撃をやんわりと受け止め、そのまま俺とタバサの方に向かって、そっと押し出す。
押しても引いても開かなかったドアが突然開いて、室内に侵入出来た事に、かなり驚いたような雰囲気のキュルケでは有ったのですが、そこはそれ。あっと言う間に精神を立て直して、直ぐに普段の調子を取り戻す。
そして、
「部屋に強力なロックを施して何をしているのかと思ったら、ふたりで仲良く食事をしていたって言う事なのね」
……と、そう問いかけて来ました。普段通りの少し人を食った笑みを口の端に浮かべて。
……って言うか、その台詞の中から、少しからかうような雰囲気が発せられているのですが、この意味は良く判らないですね。
何故ならば、この部屋の住人はタバサで俺が居候。そして俺とタバサ以外の住人は、基本的に食事の必要とはしない式神達。
そこで、今晩のように食堂で食事を取らなかった場合は、タバサの部屋で差し向かいになって食事を取っていたとしても不思議ではないと思うのですが。
ましてこれが、俺がタバサの口元におかずを運んでやっている最中に踏み込まれた状況ならば、タバサは平静だったとしても、俺の方が慌てて仕舞い、致命的なミスをやらかす可能性は有ったとは思いますけど、俺も、そしてタバサも箸を置いていたから、そんな心配も有りませんでしたから。
そんな俺の考えなど知らないキュルケが、机の上に用意されたおかずの内の鶏のから揚げをひとつ摘まみ、そして、自らの口にあっさりと放り込んだ。
立ったままで、それも指で摘まんで食べるって、かなり御行儀が悪い行為だとは思うのですが、そのような仕草が妙に似合う少女でも有りますか、彼女は。
むしろ、ルイズにしろ、このキュルケにしろ、本当に、貴族のお姫様なのでしょうか、と言う疑問すら感じますから。言葉の使い方からして、シエスタなどの町娘と何ら変わりがないようですし、立ち居振る舞いの中に、ほんの少しだけ育ちの良さを感じるだけで、それ以外の部分では、俺が10日ほど前まで暮らしていた世界の女性達とそんなに変わらないような気がするのですが。
「あら、美味しい」
そう、少し感心したように言ってくれるキュルケ。もっとも、この誉め言葉は、俺が作った料理で無い以上、ハルファスの魔法に対する誉め言葉となるのですが。
うむ。今度は、俺の作った料理を、そう誉めて貰えるように……。
……って、これでは俺はタバサ専用の料理人みたいな存在に成りつつ有る
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