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蒼き夢の果てに
第3章 白き浮遊島(うきしま)
第23話 ルイズに王命?
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鼻先を飾っている。
 成るほど。一角獣、つまり、ユニコーンと言う事ですか。俺は、やや感心したかのようにそう呟く。但し、俺の知って居るユニコーンと同じ種類の幻獣ならば、あの生命体は、普通の馬に比べて非常に扱いの難しい馬に馬車を引かせて居ると言う事に成るのですが。
 もっとも、そのユニコーンを操る御者に関しても、ユニコーンに合わせたのか若い女性が務めているので、大丈夫な可能性の方が高いですか。

 何故ならば、あの角を持つ白馬が、俺の知っているユニコーンと同じ種類の聖獣と仮定するならば、並みの馬よりもずっと高い能力は持っていますし、治癒魔法も行使可能。更に御者が若い女性ならば、おそらく、彼女の言う事は確実に聞くように契約を交わしていると思いますから、王女専用の馬車としては、これ以上の物は早々存在していないと思いますし。
 普通の馬では、全速力で走り出したユニコーンに追いつく事は難しいと思いますから。

 やがて、金と銀に彩られたそのトリステインの王女専用の馬車が止まると、学院所属ではない、王室の方から先に派遣されて来ていた召使たちが素早く駆け寄り、学院玄関から馬車の扉までの道のりを所謂、レッド・カーペットと言うヤツで敷き詰めて行きました。

 ……流石に王族と言う事ですか。こう言う習慣と言うのは、次元の壁を越えて移動させられた世界でも、そう変わる物でもないみたいです。

 そして、大体五分以内に全ての準備が整えた後、一際響く衛士の男声(こえ)が、王女の登場を高らかに告げたのでした。

 はてさて。小なりと雖も、一国の王女。馬車の中から登場するのは、一体、どんな女性ですかね。

 ……などと、とてもではないですけど、一国の王女に対して抱くべきではない不敬極まりない思考の元、興味津々と言う雰囲気で事の成り行きを見守っていた俺の目の前に、御付きの召使たちによって馬車の扉が外側から開かれ……。

 一人の西洋風の僧服に身を包んだオジサンが現れた。

 ズコッ。これは、流石に力が抜けましたよ。

 衣装は灰色のローブに丸い緋色の帽子。髪は帽子に隠されては居ますが……おっと。ツッコミは少し問題が有りますか。まぁ、コルベール先生の同族の方と思えば間違いないですね。但し、馬車の中から現れたオジサンの方は、異常に広いおでこが存在するだけで、両端には枯葉色の細いやせた髪の毛が肩に掛かる程度まで伸ばされていたりします。

 帽子は、矢張り太陽光の反射を防ぐ意味が有るのでしょうか? ……などと言うボケは何処か他所に放り投げて。
 あの帽子はおそらく、聖職者が頭に被る帽子。詳しい名称は忘れましたが、あの色で彼の身分が判ったはずです。

 王女が登場すると言う緊張に包まれていた場の空気が、一気に冷却される。それに、よくよく考えてみたら、
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