第四十三話 月の異変
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とのできる人物なのは確かだろう」
「そうか」
「だがこれで我々の道が一つ開けたな」
「月までのか」
「そうだ。とりあえずは艦に帰投しよう。詳しい話はそれからだ」
「わかった」
ロンド=ベルはそれぞれの艦に帰投した。そしてすぐに次の作戦についての討議をはじめた。
「思ったより敵が早く退いたな」
「これをどう見るかだが」
クワトロはブライトの言葉を補足するように述べた。
「何か私見のある者はいるか」
「はい」
宇宙太が手を挙げていた。クワトロは彼に目を向けた。
「君はどう思っている?」
「ギガノスは内部で分裂寸前だそうですね」
「そうした情報が入ってきているな」
「それでではないでしょうか。今回の撤退は」
「つまりマイヨ=プラート大尉の意思ではないということだな」
「はい。何か退かざるを得ない状況が起こったんじゃないかと思います」
「そうか。君はそう見るか」
「違うんですか?」
「いや、その可能性は否定しない」
クワトロは宇宙太の考えを完全には否定しなかった。
「だが純粋に上層部の判断という見方も可能だな」
「上層部の」
「そう、彼等が戦局を単純に見て指示を下した。その可能性も否定できないだろう」
「それでどっちがやばいんだ?」
オデロがここで尋ねた。
「俺はあまり変わらないように思うけれどな」
「確かに大した違いはない」
クワトロはそれも認めた。
「だがこの撤退がギガノスの分裂が原因ならば問題はより複雑だ」
「複雑」
「例えばの話だが」
クワトロは仮定の話でワンクッション置いてきた。
「ギガノス内部で粛清が起こっているならば」
「まさか」
「今目の前でドンパチやってるってのにかよ」
「いや、有り得るぞ忍」
「亮」
「ナチスやソ連もそうだったからな」
ナチスにしろソ連にしろ戦争を行いながら粛清を続けてきた。ヒトラーもスターリンも自分の地位を脅かす可能性のある者や全体主義に批判的な将軍達を次々と粛清してきた。彼等の特徴は平時においても戦局が彼等にとって著しく不利な時でもそれを行ってきたことである。それが独裁者の本質であった。
「ましてギガノスのような全体主義ならばな」
「確かにその可能性はある」
シナプスはそれに頷いた。
「大佐」
「だがギルトール元帥は粛清は行わない。あの人は仲間をそう易々と消すことはできはしない」
「理想主義者だからな」
グローバルもそれに頷いた。
「おそらくそうした場合にはどうしても説得しようとするだろう。無闇な粛清はあの人の好むところではない」
「確かに」
アムロもそれに同意して頷いた。
「あの人はそんな人じゃない」
「そうですね」
アヤもそれに続く。
「そうすることしかないとわかっていても。そういう人です
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