第三十九話 火星の影
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はそれを黙って聞いていた。何故か一言も発しない。
「その為にはコロニー落としを成功させる。人類の未来の為に」
「どうやら言っても無駄なようだな、このおっさんには」
忍が話を打ち切るようにして言った。
「じゃあ潰してやる!覚悟はいいな!」
「我々も何の策もなしにここにいるわけではない」
「何ィ!?」
「い出よ、我が愛する兵士達よ」
ロンド=ベルを取り囲むようにして木星トカゲの大軍が姿を現わした。
「ここで殲滅してくれる。そして人類の理想社会を築くのだ」
「そうはさせるかあっ!」
ダイゴウジが叫んだ。
「このダイゴウジ=ガイ様がいる限り勝手なことはさせねえ!」
「ヤマダさん、ナデシコの重力波ビーム圏内から出てますよ」
「おっとと」
メグミに言われ慌てて戻る。
「とにかくだ。また懲りずに出て来たのならまた潰してやるだけだ。覚悟しろ!」
「熱いね、どうも」
ナガレがそれを聞いて微かに笑った。
「けれどそれもまたよし」
「よし、はじめて意見があったな!」
「ただエレガントにことを運びたいが」
「ナガレ、それ言うと話がややこしくなるから止めな」
「済まない、ノイン女史」
「あたしはリョーコだよ。だから止めなって」
「話はいい!とにかく行くぞ!」
ダイゴウジが話を引っ張っていた。
「攻撃目標かぐらつき!一気に行くぞ!」
「おう」
「それは待ってくれ」
しかしそれはグローバルにより制止された。
「グローバル艦長」
「君達ナデシコとエステバリス隊には木星トカゲの部隊の迎撃に向かってもらう。バルキリー隊と共にな」
「何故」
「その方が向いているからだ。あの戦艦にはダンクーガとゴッドマーズ、そしてダイモスを向かわせる」
「よしっ、あのおっさんを地獄に叩き込んでやるぜ」
「忍にいい目見させるのはちょっと癪だな、いつも派手に戦ってる癖によ」
「それが人徳ってやつなんだよ」
忍はリョーコにそう言い返した。
「まあここは任せてな。悪いようにはしねえぜ」
「後先考えずにやるのは止めろよ」
「そうじゃなかったら戦争なんてできねえだろうが」
亮の忠告には当然のように耳を貸さない。
「戦争ってのはなあ、直感でやるもんなんだよ」
「・・・・・・それが士官の言葉か」
それを聞いたアランが呆れた声を出した。
「藤原、落ち着け」
「落ち着くのは俺の仕事じゃねえ。目の前にいる連中をブッ殺すのが仕事なんだよ」
「何かいつもこんな感じだなあ」
雅人も呆れていた。だがそこに敵が来る。
「おっと!」
火星トカゲの攻撃をかわす。そしてダンクーガの拳で目の前にいる一機を叩き潰す。
「その程度でやられるかよ!」
「腕は落ちてはいないようだな」
「うっせえ、アラン、御前のところにも来てるぞ!
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