第三十八話 バイタル=ネット
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彼は後退しながら答えた。既にロンド=ベルの攻撃が届かない範囲まで退いている。
「それにオルファンがバイタルネット=グロウブのネットに引っ掛かるのは面白くない」
「アノーア艦長への腹いせか?」
「あんなちっぽけな艦でオルファンを止めようというのが生意気なんだよ!」
「まだそんなことを!」
「ジョナサン!」
「シラーか!」
見ればシラーのグランチャーがいた。そしてもう一機。
「エッガも」
「フハハハハハハハハハハハ!」
「何だ、あいつ」
「おかしいのかよ」
ロンド=ベルの面々は彼が異常なテンションで笑うのを見てそう言った。
「どけ、ジョナサン!」
「何!?」
「裏切り者なぞ俺が串刺しにしてやるわあ!勇、覚悟!」
「勇、エッガよ」
「ああ」
カナンの言葉に頷いた。
「どう見ても様子がおかしいわ。注意してね」
「わかってる」
「おかしいというレベルじゃないな、あれは」
鉄也がそれを見て呟いた。
「狂っている。勇君、警戒しろよ」
「はい」
「エッガ!」
エッガの異常にジョナサンも気付いていた。彼に声をかける。
「しっかりコントロールしろ!」
「裏切り者があ!親を裏切るガキなんぞ親不孝以下だろうがあああああっ!」
「何だとっ!」
ジョナサンは自分のことを言われたと思い顔を顰めさせた。しかしシラーがそれを制止する。
「よせ!」
「何故だ!」
「今のエッガは・・・・・・駄目だ」
彼女はそう言うだけであった。ジョナサンもそれに従うしかなかった。
「何なんだ、あのチャクラ光は」
「見たこともないぞ」
ラッセもナンガもエッガを見て唖然としていた。
「どうなっているんだ」
「少なくとも普通の事態じゃないね」
万丈が言った。
「これは厄介だぞ」
「そうね」
マーベルがそれに頷いた。
「あのグランチャーを何とかしないと大変なことになるわ」
「しかしこの気」
ショウは何かを感じていた。
「ジェリルやバーンのそれに似ている。どういうことなんだ」
「どっちかっていうとジェリルだな」
「トッド」
「あの女と同じだ。暴走していやがる。まだあの女はその一歩手前ってとこだがな」
「そうだな」
「剥き出しの悪意と憎悪、そして嫉妬」
シーラが言った。
「あのグランチャーとパイロットは完全に正気を失っています」
「正気を」
「それだけではありません。邪悪なものすら感じます」
「じゃあどうすればいいんですか!?」
エルがそれを聞いて不安になった。そしてシーラに尋ねた。
「このままじゃ大変なことになっちゃいますよ」
ベルもである。
「止めなければなりません。ですがこのままだといずれ彼も」
「自滅するだろうな」
勇がそれを聞いて呟いた
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