第三十八話 バイタル=ネット
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なりだしていた。勇はそれを受け止めていた。
「死ね、勇!死ね、死ね!」
「まだ言うか!」
「あれはもう駄目だろうけれどな」
一度は見放しながらもシラーはまだ彼を見ていた。
「このままでは破滅するだろうな」
「だが俺達にはどうしようもない。最初にそれは言ったのは御前だぞ」
「私に何と言えというのだ?」
「別に何かを言えとは言うつもりはない」
「じゃあ」
「とにかくそろそろ撤退を考えるぞ。このまま戦っても何にもならん」
「またか」
「仕方ないことだ。今はな」
ジョナサンの方が戦局を冷静に見ていると言えた。師ラーはそれを実感していたが口には出さなかった。ジョナサンより劣っていることを認めるのが癪だったからだ。
その間もエッガの勇への破壊衝動は収まらなかった。やがて剣を持っていない方の手でも攻撃をはじめた。足まで使おうとしていた。
「何処までも・・・・・・!」
「どうしたあ!?驚いたかあっ!」
エッガの目にはもう勇は映ってはいなかった。別のものを見ていた。それが何なのかは自分自身ですらわかってはいなかった。そこまで狂気に支配されてしまっていたのだ。
「まだまだ続くぞおおおおっ!」
「いや、続かない」
「何っ!?」
勇のその冷静な言葉に反応した。
「今何て言ったあああああ!?」
「御前はここまでだ。もう御前の動きはわかった」
「戯れ言を!」
「戯れ言じゃない、食らえ!」
勇は剣を一閃させた。
「これが戯れ言じゃない証だ!」
エッガのグランチャーの腹を切り裂いた。それで完全に息の根を止めてしまったのだ。
「何のっ!」
「まだっ!?」
エッガはそれでも動こうとした。しかしそれは適わなかった。
「な、どうしたよ俺のグランチャー!」
空しく力をなくしていっていた。そして所々から破滅の音が聞こえてくる。
「力があるんだろう!?御前はジョナサンにも劣らない力があるんだろう!?」
だが返答はない。火が噴きはじめた。
「そう言ったじゃないか!御前は俺と一緒に」
「どうやら終わりのようね」
ミサトはグランガランの艦橋でそれを見て言った。
「あの男は力に溺れました」
「はい」
シーラの言葉に頷いた。
「そうみたいですね。だから破滅した」
「破滅は自らが招くもの。彼はそれに気付きませんでした」
「オルファンを潰して。うおっ!?」
爆発した。そして彼は愛機と共にその中で果ててしまったのであった。
「あれがグランチャーに取り込まれた男の最後か」
「無残なものだな、おい」
ショウとトッドがそれを見て言った。嫌悪感を露わにした顔であった。
「死んだか」
「ああ」
ジョナサンにシラーがそう答えた。
「エッガは死んだ。グランチャーに取り込まれてしまった」
「馬鹿な奴だ
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