第三十四話 月下の格闘
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心優しい」
「世界を滅ぼそうとする者がか」
帝は問うた。ルラーンはそれに答えた。
「貴女はそれを望まれてはいない」
「馬鹿な」
「その証拠に八卦にも涙を流された。それが何よりの証拠」
「・・・・・・・・・」
「そんな貴女だからこそ私は今まで側にいた。私は・・・・・・貴女は憎くはない」
「私は」
「そうだ。だからこそ」
そう言いながら懐から銃を取り出した。
「さらばです。貴女へのしがらみがないように」
その銃をこめかみに当てた。
「何をするつもりだ」
「貴女の為です」
ルラーンは静かにそう答えた。引き金にかけた指に力を込める。
「私もいなくなれば貴女は」
「止めろ」
帝はそれを制止した。
「馬鹿な真似はよせ」
「・・・・・・その御言葉だけで充分です」
ルラーンは最後にそう言って笑った。
「貴女は私が思っていた通りの方だった。これからは一人で歩まれて下さい」
そして死んだ。その死に顔は不思議な程穏やかであった。
「ルラーン・・・・・・」
帝は彼の亡骸に歩み寄った。そしてその目をそっと伏せさせた。
「私を愛してくれていたのね。有り難う」
目から銀色の光が滴り落ちた。そしてそれが床に落ちると顔を上げた。
「私一人になった。だがそれだからこそ全てを決する」
意を決してそう言った。
彼女は何処かへ姿を消した。最早そこには彼女しかいなかった。だからこそ動いた。全てを終わらせる為に。
ロンド=ベルの者達はラストガーディアンの基地に集結していた。そしてそこでまだ話を続けていた。
「マサト君」
ミサトが険しい顔で彼に向かっていた。
「私達ネルフが何故また結成されたか知っているかしら」
「ゼオライマーの為でしょうか」
「そうよ。鉄甲龍はゼーレの裏組織だった。人類補完計画が失敗した時世界を滅ぼす為のね。木原博士はそれの責任者だったのよ」
「けれど彼はゼーレに従うつもりはなかったの」
リツ子も言った。
「自分の野望を達成させる為にゼーレを利用しようと考えていたのよ」
「そして僕達が作られた」
「そういうことになるわね」
ミサトはまた言った。
「貴方は彼自身、そして彼の駒ということになるかしら」
「そうですね」
「私達は彼の冥王計画を防ぐ為にロンド=ベルに参加したの。必要な場合は破壊する為に」
「破壊・・・・・・」
「そうよ。これからどうするつもりなの!?」
「どうするつもりと言われましても」
ミサトに問い詰められ返答に窮してしまった。
「僕は何も・・・・・・」
「わからないのも無理はないさ」
ここで加持がこう言った。
「加持君」
「少なくとも彼には罪はないさ。彼に何を言ってもはじまらない」
「加持さんの言う通りだな」
隼人がそれに頷
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