第三十一話 古都の攻防
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れど何かあるのかよ」
「ケーン=ワカバ」
マイヨは彼の名を呼んだ。
「何故御前は戦う?」
「何っ!?」
ケーンはそれを聞いて思わず声をあげた。
「何故戦うのだと聞いているのだ」
「一体何が言いてえんだ、あんたは」
その質問に戸惑っていた。
「俺が何の為に戦うかだって」
「そうだ」
マイヨは頷いた。
「戦いが好きなのか?それとも命令だからか」
「生憎どちらでもねえ」
ケーンは素直にそう答えた。
「では連邦への忠誠か」
「連邦に?まさか」
ケーンはそれも否定した。
「お世辞にもそんなにいいもんじゃねえだろ。いかれたおっさんがいたりするからな」
それが三輪を指していることは言うまでもない。
「そうか」
マイヨは一通り聞いて頷いた。
「では御前は信念を持って戦っているわけではないのだな」
「信念はあるさ」
だがケーンはそれを認めはしなかった。
「俺は皆を守る為に戦っているんだ。ロンド=ベルでな」
「守る為か」
「そうさ。あんた達みたいな連中からな。俺は皆を守りたい、だから戦っているんだ」
「そうなのか」
「あんた達ギガノスみたいな連中がいる限り」
ケーンは言う。
「俺は戦い続けるだろうな」
「ふむ」
マイヨはそれを聞き終えて考える目をした。そしてそれから言った。
「では御前は自分の内にある力は自覚してはいないか」
「力!?何だそりゃ」
「気付いていないか。大いなる無知としか言いようがないな」
「どういう意味だ、そりゃ」
「愚かだと言ったのだ」
「確かに俺は落ちこぼれだけれどな」
反論する。
「少なくともあんたみてえに人を馬鹿にしたりはしねえよ」
「何っ」
「ケーンの言う通りよ」
「リンダ」
「久し振りね、兄さん。挨拶が遅れたけれど」
リンダは兄を見据えてそう言った。
「どうしてケーンをここに呼び出したのかわかったわ」
「何?」
「ケーンを愚か者、馬鹿者と罵って自分を優位に置きたかっただけなのね」
「何を言うか」
「いえ、その通りよ。兄さんは怖いのよ」
「私が怖れているというのか、ケーン=ワカバを」
「ええ」
リンダは答えた。
「自分と違うものを信じて戦うケーンが怖いのよ。違う!?」
「・・・・・・・・・」
すぐには答えなかった。だが妹に対して言葉を返した。
「言ってくれるな。御前を呼んだつもりはないというのに」
「それがどうしたの」
リンダも負けてはいなかった。
「私は自分の考えで動いているわ。兄さんとは違うわ」
「戯れ言を」
それを聞いたマイヨの眉が動いた。
「私こそ自分の信念で動いているのだ」
「そして多くの人を傷つけるのかよ」
「黙れ」
ケーンの言葉を遮って言う。
「無能な者は不要、優れた
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