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第四十三話 一難去ってまた一難
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の?そんなに月を見つめて」

声のした方を向くと、姉である焔が立っていた。ほんのりと上気した?と首に巻いたタオルで風呂上りであることがうかがえる。

「おかえり。瑞希さんは一緒じゃないんだな」

「さすがにね。いくら大学生と言えどあまり遊びすぎるのもよくないのよ」

しっかりしていることで、と桜火は肩を竦めながら言った。そこで、ふと思い出したことを焔に聞いてみることにした。

「そういえば、なんで≪種族九王≫のこと教えてくれなかったんだよ」

「あら、言ってなかったかしら?」

わざとらしく首をかしげる焔を桜火はジト目を送るが、焔は気にした様子は見せない。

「・・・・・・まぁ、済んだことだしな・・・それより、霧雨 迅さんの連絡先教えてほしいんだけど?」

「別にかまわないけど・・・どうして?」

「ちょっとな」

その後、焔から口頭で迅の連絡先を聞いた桜火は、冷蔵庫からオレンジジュースを取出し、コップ一杯煽ると部屋に戻るために踵を返す。

「もうお休み?」

「いろいろあって疲れたんで・・・それに明日は定期健診なんだよ」

「それはご愁傷様」

全然気の毒に思ってなさそうな焔の言葉に桜火は力なく片手を振って答える。部屋に消えた桜火を見送った焔はうれしそうな表情で月明かりに照らされながら呟いた。

「そっか、種族九王までたどり着いたか・・・」

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