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第四十三話 一難去ってまた一難
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も聞こえない声量で呟いた。

「くそったれ・・・“あの人”の背中を見てるようで複雑な気分だよ・・・」



「まさかフォルテと戦闘になるとわな・・・だが、予定外の収穫が二つだな」

竜の谷から出たソレイユは領地に向かって飛びながら竜の谷で手に入れたものを整理していた。謎のアイテム【グリモワール】と≪火妖精の三将≫の一人であるフォルテとのフレンド登録、この二つが先ほどソレイユが口にした予定外の収穫だった。

「グリモワールについてはルシフェルに聞けばいいだろ」

そんなこんなでエンカウントした敵を葬りながら領地を目指していると、空から甲高い鳴き声が聞こえてきた。何事か、とソレイユが空を見上げてみると巨大な雄鶏がソレイユに向かって突撃してきていた。

「ちっ!?」

舌打ちをしながらダメージ範囲外へと翅を羽ばたかせる。自分と同じ高さに降りてきた雄鶏の風圧で多少なり体勢を崩してしまうが、そんなことソレイユには関係なかった。

「一難去ってまた一難とはよく言うが・・・今日は厄日か・・・」

ぼやきながらも刀を抜き、雄鶏を見据えるソレイユ。その雄鶏はネームドMobらしいので名前を確認してみると、そこには聞き覚えのあるような無いような名前が表示された。

【Vidofnir】

ウィドフニルという名前にどっかで聞き覚えがあるとソレイユが頭を捻っていると、件の雄鶏が甲高い鳴き声を響かせながら巨大な翼を羽ばたかせ、ソレイユに向かって突進してくる。

「・・・やるしか、ねぇか」

このような時のソレイユの行動は決まっている。

「さて、と・・・いっちょ鶏刺しでも作ってみますか!」

いきなりの強敵とのエンカウントだろうと臆せずむかいうつのがソレイユというプレイヤーであった。

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

意気込んでウィドフニルと対峙してから、三十分ほどたった現在ソレイユは妙なことになっていた。それが何なのかというと―――

「・・・攻撃が通らないとか、普通有り得ないだろ」

ということである。刀で斬っても魔法で攻撃してもダメージが通らずHPが一ドットとして減ることはなかった。何処かしらを部位破壊しなければならないのかと思い考えうる限りのところを攻撃してみたがまったくと言っていいほど効果がない。“あの”アポカリプスとの初対面でさえ、しっかりとダメージは通ったのだ。だからこそ、ソレイユは呆れ半分に溜息を吐いた。

「これは、逃げた方が得策か?」

ウィドフニルの攻撃を避けながら自問するソレイユ。逃げるのは性分ではない、とはソレイユは言わない。SAOの中で彼は最強の剣士≪剣聖≫と謳われ、無敵の剣士
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