第3章 白き浮遊島(うきしま)
第22話 ギトーの災難
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っとも、貴族ならば、戦場では常に正々堂々と戦う物だと言う美学が有るのかも知れませんか。確か、タバサの父親が背中からの一撃で殺された事が揶揄される材料として使用されていましたから。貴族には、貴族に相応しい戦い方と言う物が有るのでしょう。
そんな、俺とキュルケの話声は、静まり返った教室内では妙に目立って仕舞ったのかも知れません。ギトー先生が、俺の事は無視をして、少し険しい視線をキュルケに向けた後、
「最強の系統を知っているかね? ミス・ツェルプストー」
……と、そう問い掛けて来ましたから。
……って言うか、最強の魔法の系統と言っても、それぞれの魔法に向き不向きが有るから、一概に決める事は出来ないと思うのですが。
まして、水と火。風と土は相反しているのでは無かったのでしょうか?
「『虚無』じゃないんですか?」
そんな、ギトー先生の問い掛けに対して、キュルケが少しうんざりしたような雰囲気で、そう答える。
……って、またもや、新しい単語が登場しましたね。地水火風以外に、虚無と言う系統の魔法も存在するのですか、この世界には。
これは、もしかすると、俺の知っている万能属性と言う魔法の系統かも知れませんが……。
ただ、虚無。どうもその言葉の意味から、少し嫌な気配も感じるのですが……。
「伝説の話をしている訳では有りませんよ、ミス・ツェルプストー。私は現実的な答えを聞いているのです」
キュルケの答えがお気に召さなかったのか、少し陰の気の籠った雰囲気でそう質問を続けるギトー先生。
しかし、何か、少し嫌味な言い方をする先生ですな。もっとも、学校の先生と言うのも、色々な種類の人間が居るから、少しぐらい嫌味な人間が居たとしても不思議ではないのですが。
それに、魔法学院の教師なのですから、魔法の指導に関して一流で有ったら、少々嫌味な言葉使いをする程度は問題ないと言う事なのでしょうね。
そんな事を考えていると、突然、タバサの方から【念話】のチャンネルが開かれる。いや、【念話】には成って居ない、指向性の気と言うべき物ですか。
緊急を要する、と言う雰囲気でもないのですが、何か異常事態でも起きたのでしょうか。
しかし……。
「『火』に決まっていますわ。ミスタ・ギトー」
何故か、少し不機嫌な様子で、キュルケはギトー先生にそう答えた。
……って、おいおい。これは挑発に等しい物言いだと思うのですが。確かに、キュルケがカチンと来た理由も判らなくはないとは思うのですが、それでも、相手は一応、魔法の先達ですよ。
ある程度の尊敬は必要だと思うのですが。
【キュルケを護って欲しい】
そんな実際の言葉に因る、キュルケとギトー先生の師弟同士の心温まるやり取りを耳で聞きながら
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