第3章 白き浮遊島(うきしま)
第22話 ギトーの災難
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れながら、治癒魔法を行使するのは勘弁して貰いたいのですが。
少なくとも俺は、明日以降も生きていたいですから。
「こうなったら、忍にも最後まで付き合って貰うからな」
そして、何故か、キュルケに抱きしめられて、この世の春を謳歌していたはずの才人まで、地獄の亡者よろしく、俺の肩を掴んで共に地獄の窯の底に引きずり込もうとしている。
俺は別に、キュルケに抱きしめられたくもないですし、ましてや、ルイズに馬鹿犬呼ばわりされて喜ぶ少し問題のある趣味もないのですが。
矢張り、妙な形でしょうもないギャグに走らずに、素直に忍び足で逃げるべきでしたか。
後悔先に立たず。
そう言う、賢者の言が何処かから聞こえて来たような気もするのですが、おそらく、進退窮まった俺の頭が生み出した幻聴と言うヤツなのでしょう。
……やれやれ。
☆★☆★☆
何とか、空腹時のライオンよりも危険極まりないルイズを宥めすかして、才人に治療を施し、彼の傷が完治した瞬間、教室のドアが開いて、漆黒のマントを纏った長い黒髪の男が入って来た。
……って、何故か、俺、タバサの隣ではなくて、キュルケと才人の間に取り残されて仕舞いましたよ?
まぁ、これぐらいは仕方がないですか。それに、ここは魔法学院内の教室ですから、早々、危険な事もないと思いますから大丈夫でしょう。
足早に歩を進めて教壇に立ち、教室内をその冷たい瞳で一通り見渡した後、
「それでは、授業を始める。知っての通り、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトーだ」
彼の発する雰囲気そのままの声でそう告げる、疾風のギトーさん。
……って言うか、その二つ名を聞いただけで、彼の属性が風だと一発で判るのですが。
「なぁ、キュルケ。何故に、二つ名を堂々と名乗るんや。これは、二つ名を広く知られると、何か良い事でも有ると言う事なのか?」
授業中なので、少し声のトーンを下げながら、それでも疑問を口にする俺。
それに、俺のような姑息な人間からすると、二つ名とはあまり有り難いモノでもないのですが……。
「少なくとも、有名になるのは悪い事じゃないと思うけど?」
至極当たり前の事のようにそう答えるキュルケ。
成るほど。それは……。
「つまり、名前と共に、二つ名が有名に成れば成るほど、その魔法使いの名声が上がったと言う事に成るのか」
但し、そうだとすると、有名になれば成るほど、その魔法使いが持つ能力を知られる事と成り、戦場に出る事は危険と成って行くとも思うのですが。
どんなに魔法の能力が高くても、相手の使用する属性が判れば、俺ならば対処する方法が有ります。そして、俺に出来る事なら、この世界の魔法使いにだって出来ると思うのですが。
も
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