第3章 白き浮遊島(うきしま)
第22話 ギトーの災難
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キュルケを見つめる俺。いや、別に、賞品の才人を間に置いて、(才人の)命を掛けた綱引きを行っている彼女を感心して見つめている訳では無く、彼女の発した台詞に対して感心しているのです。
この世界では炎系統にも治癒魔法が存在する、と言う部分に関して。
普通は、破壊力のみが強調される炎ですけど、再生も司るとすると使用範囲は広いでしょう。確かに不死鳥の炎などがその典型例ですが、その他にはあまり有りませんから。
一瞬、感心してそう思っては見るのですが……。
相変わらず、才人を挟んで、何やら不毛な綱引きを行っているキュルケとルイズ。
その度に、少しマズイんじゃないかと思う呻き声が漏れて来ている。
ただ、そんな事はどうでも良い事ですか。今、一番重要なのは……。
ここから俺がどうやって逃げ出すか、ですからね。
それに、少なくとも今なら、才人はキュルケに抱きしめられてデレデレしているし、ルイズは才人とキュルケの方しか見ていない。それに、俺の蒼い御主人様は我関せずの形で、ここから少し離れた位置に席を確保していますから。
タバサの近くまで逃げ切ったら、俺の安全は保障される。そこまでどうやってこの三人を刺激しないように移動するかだけ、ですか。
「何を適当な事を言っているのよ。貴女の魔法の何処に治癒の魔法が有るって言うの。年中、熱に浮かされていて、終に頭の中まで茹だったみたいね」
ルイズが、そのとび色の瞳でキュルケを睨み付け、そして、才人の首輪に繋がった鎖を力任せに引っ張る。
同時に、少し、マズイ類の呻きが漏れて来る。
何か、非常に問題の有る言いようですけど、俺には関係有りません。このまま、彼女らの視界からゆっくりとフェードアウトして行く要領で……。
そう思い、抜き足、差し足、千鳥足と、こっそりと修羅場から逃げ出そうとする俺。
しかし、
「フゴッ」
何故か、急に強力な力で襟首を後ろから掴まれて、首つり状態に陥る俺。そして、
「何処に行こうと言うのかしら、アンタは」
何故か、俺の襟首を掴んでいるピンク色の夜叉が一人。
いや、ここに俺が居る必要などないと思うのですが……。
それに、俺の蒼い御主人様はアソコに御座りになって、既に読書を開始されていますから、セバスチャンといたしましては、お嬢様の身の回りのお世話が御座いますから、ここは御暇させて頂きたいと思うのですが。
「私の代わりに、治癒の魔法をダーリンに掛けてくれるんじゃないの、シノブ」
更に、赤毛のおっぱい星人も俺の襟首を捕らえたまま、そう笑い掛ける。但し、瞳に笑みは浮かんではいない。
……って、アンタの魔法で才人を癒してやるんじゃなかったんですか?
俺は、ここに居るピンク色の夜叉に睨ま
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