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故郷は青き星
第八話
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の2人が視線を逸らす。そんな2人にエルシャンは確信をもって話を続ける。
「だが残念な事に、この恋物語は三角関係へとは至りません。何故ならジヴァ君の意中の相手は、その2人ではないのです」
「な、な、なんだってーっ!」
 今度は男子だけでなく女子まで食いついてきた。食いついてないのは当事者であるジヴァ。そしてエーダラとクシーナの2人は俯いて肩を落とす。

「ど、ど、どうして? 何で今相談しようと思ってたのに相談内容を知ってて、何で、そこまで知ってるの? おかしいよね? これって何なの一体?」
 ジヴァの言葉にクラス中が頷く。
 エルシャンとしては最後列の席から授業の合間に、クラスメイト達がよそ見している時の方向や、その時の耳や尻尾の動きを見ていれば、特に男子の分かりやすい恋愛感情など手に取るように見えてくるのだが、そんな事はおくびにも出さず腕を組むと不敵に笑う──そんな事をするから、一々おっさん臭い態度が鼻に突くと思われているのに気付きもせず。
「そんな事はどうでも良いのです」
「どうでも良くない!」
 ジヴァが叫ぶが、エルシャンは無視して続ける。
「さてジヴァ君。君には2つの選択肢があります。先ずは、このまま自分が好きな女の子に正面から告白する。正直勝算はかなり厳しいものとなりそうですが、しかし2人の女子を袖にしてまで自分への愛を貫く、そんな一途な君の気持ちに心動かされる可能性が無くはない思います。もう一つは──」
「す、好きだ! コリネドちゃん! 君が好きだ!」
 突然、ジヴァは走り出すと1人の少女の前に立ち叫んだ。
 追い込まれた彼はこれ以上エルシャンに自分の恋心を暴かれるくらいなら、自分の口から好きな人に告白しようと行動を起したのだった。

 そんな彼の行動に、教室中にクラスメイト達の驚きの声が響き渡る中、エルシャンは椅子の背もたれに身体を預けて「見事だ。正解だよジヴァ君」と呟く。その時、彼の後ろから肩越しに誰かが耳元で囁いた。
「面白いショウだったよ君」
 エルシャンが驚いて背もたれから身体を起して振り返ると、とても背の高い黒毛の美しい女性が立っていた。
 まだ若く20歳くらいであろう。雪のように白い肌には化粧気は無く、深い色居の黒毛は艶やかでくせが無く、長い睫に縁取られた目には神秘的な黒い瞳が吸い込まそうな深さを帯ていた。
 その瞳に魂を奪われたかのようにエルシャンが目を離せずにいると、女性は形の良い目を細めると「じゃあね」と一言残すと長い黒毛を靡かせて、開いているドアから教室を出て行く。
 その背後で「ごめんね。私好きな人が居るの」とジヴァ君が壮絶な自爆を遂げていた事にもエルシャンは気付かず、その後姿を目で追い続ける。

「振られちゃったよ」
 涙目でしょんぼりと耳を伏せ、尻尾を普段とは逆の下向きに丸
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