第八話
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わった教室で皆の食い入るような視線に晒されながらパニックに陥るシヴァ。
「分かった。ではこちらから質問します。イエスかハイで答えて下さい」
『それは違うだろう!』というクラスメイトの無言の突っ込みの気配にもたじろぐことなくエルシャンは質問を始める。
「君には気になっている女子が居ますね?」
「な、な、何でそれを!」
「イエスかハイ!」
「は、ハイ!」
ジヴァが反射的に答えた瞬間。エルシャンは周囲に視線を走らせると、彼の返事に2人の女子が反応を示し、ぐっと前に身を乗り出すのが見えた。
『こいつに2人も脈ありの女子が居るとは……なんてこったい! もげれば良いのに』と未だこの事実を知らない憐れな男子達を代表して心底そう思った。
もっともエルシャンはクラスの女子には興味はない。幾ら性的成熟が早いといっても10歳前の少女に性的な興味を抱くほど変態ではなかった。
もっとも性的ではない愛玩動物的な興味なら幾らでもある。男子同士がじゃれあって転がりまわる様子でさえ、子犬のようで微笑ましく感じてしまう位で──それがクラスから浮く理由の一つだったが、当然エルシャンは気付いていない──むしろそちらの方がフルント人としては救いがたい変態に違いなかった。
だがどちらにしてもエルシャンが男である以上。自分よりもてる男は全て敵なのである。
反応を示した1人の名はエーダラ。クラスの女子というよりクラス全体のリーダー格の女子で面倒見の良い姉御肌。髪の毛は黒毛と赤毛のまだらになった胡麻毛の少女。小柄で少し頼りないジヴァに何かと気にかけていた。
もう1人の名はクナーシ。エーダラとは正反対に小柄で、髪は赤毛──シルバ族の8割以上が赤毛(茶色)──で、休み時間はクラスメイトの男子に混ざって一緒に遊んでいる元気少女で、遊び仲間の中で体格、体力的に劣るジヴァをよくからかっていた。どちらも男子には人気の女子だった。
「そして、その相手はこのクラスの中に居ますね?」
「い、い、イエス」
完全に場の空気に飲まれてしまって、答える必要が無いのに答えてしまうジヴァ。
「さて皆さん。クラスの女子の中に好きな子が居ると告白してしまったジヴァ君ですが、スタッフの調査の結果意外な事実が分かってきました」
「僕の意外な事実? スタッフって誰?」
当然の突っ込みを無視してエルシャンは話し続ける。
「実はこのクラスの中に、ちょっとヘタレ気味なこのジヴァ君の事を好きな女子が、何と2名も居る事が判明しました」
「な、何だって!」
案の定、クラスの男子達が食いついてきた。
「そこから生まれるであろう三角関係、恋の駆け引きに俄然注目が集まる。そうですね皆さん」
そう言ってエルシャンが周囲をゆっくりと見渡すと、クラスの女子たちが目を輝かせる中でエーダラとクシーナ
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