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故郷は青き星
第八話
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しくは無かった位だった。
 近代以降の社会制度の変化から結婚には身体的成熟以外に社会的成熟が必要になったため晩婚化──それでも20歳前後──したが、フルント星の連盟加盟以降は再び早婚化が進み、現在は義務教育が終了した15歳で結婚する男女が多い。
 その原因は言うまでも無く、人口増加によるパイロットの増加を望む連盟の要請に沿ったものであり、早婚を可能としたのもまたパイロットという生計を立てる手段が存在したためだった。
 またフルント人は基本的に一度、番った相手と生涯連れ添う。これは社会的規範に基づくものではなく種族的な本能で、フルント人には人類が進化の過程で喪失したフェロモンの受容器官である鋤鼻器が存在し、性交時に発せられる強いフェロモンに影響を受けて相手を生涯のパートナーと脳が認識してしまうためである。
 もっとも互いのパートナーを愛し続けるというのと、他の異性『にも』心を惹かれるのは別問題で、浮気が原因での離婚が全く存在しないわけではない。フルント人はそこまで本能に縛られた存在では無く、愛してるからこそ浮気が許せないという気持ちは、時としてフェロモンに支配力をも上回る。それでも離婚率は1%にも満たない。

 多くのフルント人は早い段階で思春期を迎えると──個人差もあるが8-9歳位─社会的な要求と己の本能に従いパートナーを探し始める。そしてシヴァと呼んだ少年がそうであるだろうと予想がつくほど、エルシャンはその手の相談を頻繁に受けていた。『お前等、完全ぼっちの俺に恋愛事の相談を持ち込むの疑問は抱かないのか?』というのがエルシャンの気持ちなのだが、クラスの少年達にしてみれば『クラス1大人びたエルシャンさんなら、いや大人びすぎて浮いてるほどのエルシャンの兄貴なら』と藁にも縋りたいのであった。
 だがエルシャンも余りに頻繁すぎて、イラッと来るほどうんざりだったのだ。
 何故なら、エルシャンが助言したり仲介した場合、かなりの確率で上手く行ってしまうのだ。これはエルシャンにも『俺には友達すらいないのに、俺のおかげで恋人だの彼女だのふざけるな』という意味で不本意であった。
 特に4年の新学期でクラスが変わり、新しいクラスメイトというより女子との出会いに刺激されて、本能が目覚めてしまった男子達が毎日のように、この手の話を持ってくるので、エルシャンの我慢の限界が運悪く彼の番で迎えてしまった。

「えっ……いや、あのね」
「言いたい事があるなら今ここで聞くよ」
 分かってて、そう言い放つエルシャン。悪そうな笑顔をたたえていた。
 エルシャンの言葉に周囲のクラスメイト達が一斉にピンと耳を立てて押し黙る。
「いや、あの……その……な、何で」
『何で僕だけこんな目に? 今まで他の男子の相談には乗ってくれてたに何で? 何で? 何で?』一瞬にして空気が変
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