第一部
プレゼント
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えるように振舞っているという、変な方向に器用な女性である。
彼女は、ミス・エリクソンのお小言によって害した気分を立て直そうと、その手に持ったワインを一口口に含んだ。
そう、飲んだのである。以前までならば霊体が故に飲食が出来なかった筈なのに!つまり、飲食が出来るということは、この身は実体ということになる。
「・・・本当に、素敵な夜です。私、こんな日が来るとは夢にも思っていませんでした。鈴蘭ちゃんには、感謝してもしきれないですね。」
「姫様・・・。」
事は、鈴蘭が賢人議会に直接乗り込んだその日に起こった。彼女との交渉役に選ばれた男性を、容赦なく泣かせて自身の権能の情報の代金を奪い去った鈴蘭は、その足で観光をし始めた。―――余談だが、鈴蘭来訪の報告を聞いて、戦おうとしたカンピオーネが二人ほど存在したそうだが、何分突然だった事で準備が遅れ、準備が整ったときには既に鈴蘭は日本へと帰ったあとだった。
さて、気の赴くままに観光をしていた鈴蘭は、そこで少し違和感を感じた。まるで、そこに居るのに居ないような。存在感が特殊なのだ。
興味を惹かれた彼女がその気配を探すと、そこにはプリンセス・アリスの姿があった。彼女は、持ち前の好奇心に突き動かされて、鈴蘭のことを見に来ていたのだった。―――後々ミス・エリクソンには大層叱られたそうだ。いくら彼女の魔女としての霊視と直感で、鈴蘭は悪い人間ではないと確信していたとしても、カンピオーネと不用意に接触するなど言語道断。しばらくの間は、幽体離脱すらさせてくれなかったとか。
さてさて、元々フットワークの軽く、好奇心が旺盛な二人だ。鈴蘭は自身が尾行されていたことにも怒らず、アリスとの会話を楽しんだ。アリスも鈴蘭も、お互いに相性の良さを感じ取ったらしく、出会って一時間もしないうちに親友とまで呼べる関係になっていた。
そこで鈴蘭は聞いてしまったのだ。アリスの秘密を。彼女の体は既にボロボロで、動くことすらマトモには出来ないと。
それを聞いて黙っていられるような彼女では無かった。直ぐに魔殺商会へと転移して、ドクターとリッチを力づくで連れ出した彼女は、アリスの本体が眠る賢人議会へととんぼ返りしたのだ。
・・・まぁ、賢人議会は阿鼻叫喚の騒ぎになったのだが。何しろ、鈴蘭と共に、神にすら匹敵する骸骨が目の前に現れたのだから。同時にそれは、『【聖魔王】鈴蘭には神々に匹敵する仲間が複数存在する』という噂を完全に裏付ける自体となった。
この三人が合わさって不可能なことなど存在しない。何しろ、ドクターとリッチは既に『死者の蘇生』などという奇跡を成功させている。そこに、『何でも創れる』鈴蘭が加わっているのだから、文字道理不可能など存在しない。た
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