第二十五話 燃ゆる透水、凍る鬼火
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はラー=カイラムの艦橋で一言そう漏らした。
「どうした」
それにアムロが顔を向けた。
「ああ。圧倒的な力を持っているようだな」
「それか」
「どう思う」
アムロに問うてきた。
「あの力、危険なものだろうか」
「それは使う人間によるな」
アムロの答えはそうであった。
「どんな素晴らしい力もそれを使う人間の心が悪かったらそれで終わりだ」
「そうだな」
「それはロンド=ベルの指揮官である御前が一番よくわかってることじゃないのか」
「そうかも知れない」
ブライトはあらためて頷いた。
「あのドレイクにしろそうだな」
「ああ。逆にショウやシーラ姫を見てもな。それはわかるだろう」
「うむ」
「そういうことじゃないかな、結局は」
「そうだな」
「俺にしろ御前にしろティターンズみたいになっている可能性はあるんだ」
「ジャミトフやバスクみたいにか」
「そう言うとわかりにくいな」
アムロは言葉を変えた。
「ギレン=ザビみたいにな。若しくはユーゼスか」
「ユーゼスか」
かって死闘を繰り広げたバルマーの副司令官であった。彼は最後の最後で本物のラオデキアに滅ぼされてしまった。狡猾で残忍な男であった。
「ああしたふうにはなりたくはないな」
「ああ」
それはブライトも同じだった。
「ああならない為にもな。心は重要だ」
「そうだな。ではゼオライマーは」
「その木原マサキという男が問題だ。話を聞く限りじゃまともな奴とは思えない」
「死んだともいうが」
「その怨念が残っていないことを祈るな。そう」
アムロは一旦言葉をとぎった。それからまた言った。
「ジオンみたいにな」
彼にとってそれは忘れられぬことであった。ジオンとの戦いにより彼の人生が変わったのだから。今彼はそれを噛み締めながら言ったのだ。
ティターンズもまた実質的にはジオンの流れを汲む者達であった。今二人は彼等がいるオデッサを見据えていた。
「やるぞ」
「うむ」
ロンド=ベルはオデッサに向かっていた。だがその前に一つの出会いと別れが彼等にあるのをこの時はまだ知らなかった。知ることもできなかった。
第二十五話 完
2005・6・5
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