第二十二話 誇り高き戦士
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テルはそれを見て目を鋭くさせるだけであった。だがメルビはそんな彼に声をかけた。
「リヒテル提督」
「何か」
「そなたの妹君はどうしたのだ」
彼はエリカについて問うてきた。
「・・・・・・・・・」
リヒテルは答えようとしない。だがメルビはそれに構わず話を続ける。
「折角わざわざ地球に来たのだ。美しき姫君に挨拶させてもらうか」
「メルビ補佐官」
リヒテルは怒りを押し隠した声で彼に対して言った。
「何だ」
「今我々は地球制圧作戦を実施中だ。下らぬことなら早々に立ち去られよ」
「わかったわかった」
メルビはそれでも反省することなく手を振ってそれを制した。
「ならばここで我がバーム軍の戦いぶりを見物させてもらおう」
「なっ」
「見物と」
それを聞いてバルバスもライザも思わず声をあげた。
「そうだ。見物だ」
しかしそれでもメルビの態度は変わることがなかった。平然とそう言葉を返した。
「勝利の酒を用意しておく。楽しみにしているぞ、リヒテル。ハハハハハ」
笑いながら司令室を立ち去った。リヒテルは彼がいなくなったのを見てから吐き捨てるように言葉を出した。
「役立たずめが・・・・・・!」
その声には先程まで溜めていた怒りが満ち満ちていた。
「リヒテル様」
そんな彼にライザが声をかけてきた。
「何だ」
「メルビ補佐官は一体何の用件でこちらに来られたのでしょうか」
「余の知ったことか」
まだ怒りが収まらない。また吐き捨てるように言う。
「だが奴が小バームに戻ればオルバン大元帥が今の状況をお知りになるのは事実だ」
「はい」
バルバスもそれに頷いた。
「そうなればバーム十億の民がどれだけ絶望し落胆するか。それを思うとな」
「それですが」
ここでライザが申し出た。
「私に一つ策があります」
「策!?」
「はい。あの男を使うのです」
「あの男」
リヒテルはそれを聞いてそれが誰のことであるのかすぐにわかった。
「フン」
怒りを覚えながらもそれを認めることにした。
「あの様な裏切り者なぞ不要、好きにするがいい」
「ハッ」
ライザは頷いた。それから答えた。
「必ずや地球人共を成敗してみせましょう」
「頼むぞ」
そう言ってリヒテルは司令室を離れた。ライザはその後ろ姿を見ながら心の中で呟いた。
(リヒテル様、どうか私めをお許し下さい)
こうしてバーム軍は行動を開始した。そこにはそれぞれの思惑があった。
ロンド=ベルはその頃神戸で補給を受けていた。六隻の戦艦が港に停泊し、そこで修理も受けていた。そして戦士達は香港へ向かう準備に追われていた。
「何か神戸に来たことは滅多になかったな」
ショウがビルバインの整備をしながらマーベル達にそう言った。
「そういえば
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